第2弾CD「最後のトレモロ」をリリース
バリオス「大聖堂」やブローウェルなどを収録
「人の感情を表し、歌うような曲です」
まだウィーン国立音楽大学の4年生。7月から9月まで日本に滞在して、コンサートなど忙しい毎日を過ごす。コロムビアからの第2弾のアルバム「最後のトレモロ」の録音も7月に3日間で行った。
「演奏優先で、ずっと卒業試験を伸ばしっぱなしです。今年こそは卒業して、大学院に入るつもりです(笑い)。ウィーンにいる間にまだまだ勉強することがたくさんあります。勉強して、演奏して、を両立できるというのは理想としていた生活なのです。今すごく大事な時間を過ごしています」
ちょうど1年前に「スペインの旅」とタイトルされたアルバムを出した。
「1年たって目に見えるような大きな成長はありませんが、人を教える機会が増えました。教えながら自分が勉強することが多いのです。考えていることをまとめ、言葉に出来るようになりました。教えることで、自分はこんな気持ちで弾いているということを改めて感じさせてもらいました」
7月には栃木・那須で2泊3日のサマースクールの講師を務めた。
今回のアルバムには、著名なギター作曲家であるアグスティン・バリオス=マンゴレのアルバム・タイトルである「最後のトレモロ」や「大聖堂」、ブローウェルの「キューバの子守歌」、ピアソラの「天使のミロンガ」などを収録した。
「前のアルバムは自然をイメージしましたが、今回は感情を表す曲を入れました。楽器をかき鳴らす曲だけではなく、歌うようなカンタービレな曲です。バリオスを中心に作りたかったこともありました。まだ新人なので、自己満足ではなく、いろんな方に聴いていただけるように、バランスよくなじみやすい曲を入れました」
ジョン・ウィリアムズが再発見したといわれるバリオスの「大聖堂」は、多くのギタリストが録音している。
「私もウィリアムズのCDを聴いてはまっていました。
『大聖堂』はギタリストを目指す人は必ず弾きます。私にとっても、小学生のときの練習曲でした。3楽章のトレモロは小さい手には難しかった。コンクールでも弾きました。あまりにもみなが弾くので弾いていませんでした。今回十数年ぶりに弾いたら、当時とはだいぶ感情が違い、改めてもう一度学ぶことができました。みなと違う『大聖堂』になっていればいいですが」
「大聖堂」の3楽章は、感情の高ぶりを維持するため、途中で切らずに通して演奏して録音したという。
9月からこのCDの作品を披露する演奏会がスタートする。来年はブラジルを中心にしたアルバムを予定している。
1985年、韓国生まれ。日本と韓国で育つ。3歳のとき横浜でギターを始める。東京音楽大を経て、現在、ウィーン国立音楽大学に在学中。2007年、ハインツベルク国際ギターコンクール第1位。08年、ベルギー“ギターの春2008”第1位(アジア人そして女性初)など世界各国のコンクールで優勝。12年、日本コロムビアからメジャー・デビュー。カーネギーホール(ワイルホール)でアメリカ・デビューを果たす。荘村清志、福田進一、A・ピエッリに師事。
■CD
「最後のトレモロ」
バリオス=マンゴレ:最後のトレモロ/ワルツ第3番/大聖堂
ブローウェル:キューバの子守歌
ピアソラ:天使のミロンガ
モンテス:別れの前奏曲、他
(コロムビア)COCQ-85023 9月18日発売予定
■公演情報
9月18日(水) 浜離宮朝日ホール
10月25日(金) 電気文化会館ザ・コンサートホール
■問い合わせ:コンサートイマジン TEL 03-3235-3777