生誕100年のブーレーズ、ピアノの永野英樹らがオマージュ
■ブーレーズへのオマージュ
〈第29回京都の秋 音楽祭/ピエール・ブーレーズ 生誕100年記念事業〉
永野英樹(p)、上野由恵(fl)、上田希(cl)、上敷領藍子(vn)、一樂恒(vc)
ブーレーズ:《12のノタシオン》,《ドメーヌ》,《フルートとピアノのためのソナチネ》、
ラヴェル:《夜のガスパール》、シェーンベルク(ウェーベルン編):室内交響曲第1番
11月8日(土) 14:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
■アンサンブル九条山 コンサート vol.17
スペクトル、その先へ ジャン=リュック・エルヴェを迎えて
作曲・電子音響:J=L・エルヴェ、指揮:夏田昌和、演奏:アンサンブル九条山
ジャン=リュック・エルヴェ:《四方の草木も靡くかと》(アンサンブル九条山委嘱作品 : 世界初演)、他
11月30日(日)16:00 高槻城公園芸術文化劇場 太陽ファルマテックホール
■シャルル・デュトワ指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第593回定期演奏会
小菅優(p)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番、ラヴェル:バレエ音楽《ダフニスとクロエ》
11月21日 (金) 19:00、22日(土)15:00 フェスティバルホール
主に西日本の演奏会から紹介する。20世紀を代表するフランスの作曲家ピエール・ブーレーズの生誕100年を記念した「ブーレーズへのオマージュ」が京都で開かれる。彼自身が設立したアンサンブル・アンテルコンタンポランのソロ・ピアニスト永野英樹を中心にした室内楽で、《12のノタシオン》など彼の作品3曲を演奏する。ラヴェル、シェーンベルクなども取り上げ、ブーレーズ作品との関わりを探る。本人の指揮で演奏を重ねた永野は「残響の扱いがすごく細やかだった」とその独特の呼吸、感性を振り返る。その上で「作曲時に前衛だった曲も、すでに古典になっている」とも。東京では、ベルリン・フィルとの共演で注目の作曲家、クラリネット奏者イェルク・ヴィトマンらと永野が共演する演奏会もある(11月15日(土)13:00 TOPPANホール)。
現代音楽でもう一つ注目の演奏会は、アンサンブル・アンテルコンタンポランでも作品が演奏されるフランスの作曲家ジャン=リュック・エルヴェを迎えての演奏会。1960年生まれ、倍音構造をコンピューター解析・再構築するスペクトル楽派の第2世代。「アンサンブル九条山」が、彼の世界初演作品などを含む現代曲を演奏する。2000年に京都・九条山にあるフランスの国外文化施設「ヴィラ九条山」にレジデントとして滞在し、日本文化に大きな影響を受けた。新作の題材は、能「老松」だ。
巨匠シャルル・デュトワが大阪フィルに今年も登場する。小菅優を独奏者に迎えてモーツァルトのピアノ協奏曲第22番と、ラヴェルのバレエ音楽《ダフニスとクロエ》を演奏する。熟達の棒で引き出す緻密なアンサンブルと色彩豊かな音色を味わいたい。
ノット/東響、12年間の物語のフィナーレはマーラー第9番
■ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団第736回 定期演奏会
宮田まゆみ(笙)
武満徹:《セレモニアル》、マーラー:交響曲第9番
11月22日(土)18:00 サントリーホール〔ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集 第212回も、演者・演目とも同じ。11月23日(日・祝)14:00〕
■山田和樹指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 第776回東京定期演奏会
熊木夕茉(S)、加耒徹(Br)、東京音楽大学ch
ドビュッシー:バレエ音楽《遊戯》、武満徹:《マイ・ウェイ・オブ・ライフ−マイケル・ヴァイナーの追憶に》、ラヴェル:ボレロ、プーランク:スターバト・マーテル
11月28日(金)19:00、29日(土)14:00 サントリーホール
■第43回 横浜市招待国際ピアノ演奏会
サン・ジッタカーン、ジャン=ポール・ガスパリアン、ヨナス・アウミラー、
田所光之マルセル(以上p)
11月16日(日)15:00 横浜みなとみらいホール 大ホール
〔演奏曲目、関連イベントなどの詳細は、横浜みなとみらいホールのHP参照〕
一時代を築いた関係がフィナーレを迎えるノット/東京交響楽団。最後の定期演奏会となるのが11月のマーラー第9番だ。ノットが東響の音楽監督に就任したのは2014年、そのお披露目となる定期演奏会が同じ曲だった。楽団事務局長のコラムによると、当時、この曲をプログラミングした際、すでに「最後の曲目は再びマーラーの交響曲第9番にしたいと腹の中で決めていた」という。前プロの武満含め全く同じ演目だ。聴衆も万感の思いにとらわれることまちがいないだろう。
今年ベルリン・フィルにデビューし、また手兵バーミンガム市交響楽団との来日公演を果たすなど大活躍の山田和樹。2022年まで10年間正指揮者を務めた日本フィルへの客演は、得意のフランスもの中心のプログラム、特にプーランクの《スターバト・マーテル》に注目したい。
ピアノで楽しみなのが、第43回横浜市招待国際ピアノ演奏会。世界に活躍の場を広げつつある田所光之マルセル、ショパン・コンクール挑戦の結果が楽しみなヨナス・アウミラーなど4人の若手が揃う。関連イベントとして「ピアニストってどんな人? 子どもたちとの交流会」や特別レクチャー〈ピアノの学びの限界を突破する:脳と身体の観点から〉(講師:古屋晋一)があり、力の入ったピアノ文化の取り組みであることがわかる。
オーケストラでは、創立80年を記念する飯森/群響のマーラー《千人の交響曲》(29日(土)、30日(日))、カヴァコスがショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番のソロを務めるルイージ/N響第2051回定期公演 Aプログラム(29日(土)、30日(日))なども要注目だ。