新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」

バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」

クリスティアン・ツィメルマン(ピアノ)
サイモン・ラトル(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
※冒頭にバーンスタインのこの作品についての肉声を収録
(ユニバーサル)UCCG-1810 3024円
録音:2018年

生誕100年のバーンスタインの傑作の真価を鮮やかに示す

 バーンスタイン生誕100年を祝すにふさわしいリリース。ラトルとツィメルマン、ベルリン・フィルは2017年から世界各地で15回もこの作品を取り上げているというが、その磨き上げられた成果が記録されている。作曲家の傑作の呼び声が高い作品ではあるが、決定的な演奏がなかった印象のあるこの曲の真価を鮮やかに示した1枚。多様な要素を包含しながらも、一つのまとまりを形成している。短いがバーンスタインの肉声が収録されているのもうれしい。

室内楽・器楽

伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲 ~シックス・エヴォリューションズ~

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲 ~シックス・エヴォリューションズ~

●バッハ:無伴奏チェロ組曲第1~6番
ヨーヨー・マ(チェロ)
(ソニー)SICC-30488/9 3888円(2CD)

3度目の録音は、精神性が高く説得力に富む

 ヨーヨー・マが1982年、94~97年に次いで3度目のバッハ「無伴奏チェロ組曲」全曲録音をリリースした。彼は「バッハと共に育ち、バッハと共に生き、バッハと共に音楽人生を思考する」と語る。3度目のバッハは、さまざまな音楽ジャンルを巡り、自己の可能性を探求し、アイデンティティーを模索してきたヨーヨー・マの「バッハの無伴奏」という高い頂への新たなる挑戦と自由精神の希求ともいうべき演奏。雄弁で精神性が高く説得力に富む。

ナイトフォール

ナイトフォール

●ドビュッシー:夢想/ベルガマスク組曲
●サティ:グノシエンヌ第1番/ジムノペディ第1番/グノシエンヌ第3番
●ラヴェル:夜のガスパール/亡き王女のためのパヴァーヌ
アリス=紗良・オット(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-90807 3780円(DVD付限定盤)

デビュー10年のピアノとの濃密な関係が凝縮

 アリス=紗良・オットがドイツ・グラモフォン・デビューから10年を迎えた。その記念に選曲されたのはドビュッシー、サティ、ラヴェル。昼と夜が対峙し、光と闇が調和するという不思議な時間―ナイトフォールをタイトルに付し、各作品が内包するえもいわれぬ不思議な色彩を水彩画のように、また墨絵のように浮き彫りにしていく。ここにはアリスの10年間のピアノとの濃密な関係が凝縮し、心が吐露されているよう。白昼夢のような趣の1枚。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

バーンスタイン:ミュージカル「ワンダフル・タウン」

バーンスタイン:ミュージカル「ワンダフル・タウン」

ダニエル・ドゥ・ニース(ルース)
ネイサン・ガン(ベイカー)、他
サイモン・ラトル(指揮)
ロンドン響&合唱団
(キングインターナショナル)LSO0-813
オープン価格
※輸入盤、LSO Live原盤、日本語解説付き

バーンスタインの傑作ミュージカルをラトル&ロンドン響が演奏

 ラトルはロンドン交響楽団とともに、2017年からバーンスタイン特集を組んで来たという。これは17年12月の公演ライヴ。キャストは姉のルース役にドゥ・ニース、妹アイリーン役はブロードウェイでも活躍するアンプレス、ベイカー役はミュージカルでも活躍するバリトン、ネイサン・ガンという適役の歌手たちで、演技力があり、歌唱力もある。ラトルの指揮はスウィング感があり、しかも洗練されている。バーンスタインの傑作ミュージカルを堪能させてくれた。

現代曲

長木誠司◎音楽評論家

ヴィトマン:ヴィオラ協奏曲(世界初録音)

ヴィトマン:ヴィオラ協奏曲(世界初録音)

●ヴィトマン:ヴィオラ協奏曲~アントワーヌ・タメスティに捧げる(2015)/24のデュオより~ヴァイオリンとチェロのための(タメスティ編 ヴィオラとヴァイオリンまたはチェロのデュオ版)/狩の四重奏曲
アントワーヌ・タメスティ(ヴィオラ)
ダニエル・ハーディング(指揮)
バイエルン放送交響楽団
マルク・ブシュコフ(ヴァイオリン)
シグナム四重奏団、他
(キングインターナショナル)KKC-5916 3240円

ヴィオラの名手タメスティのために書かれた協奏曲

 この夏来日して、作曲家・演奏家両面で感銘を与えたヴィトマンの作品集。ヴィオラの名手タメスティのために書かれた協奏曲が、現代作品とはいえ、アイデア盛りだくさんの演出と手練手管の旺盛なサーヴィス精神で一瞬の緩みもなく聴かせる。楽しく聴いて、現代の第一線に触れる実感を与えてくれる希な作曲家。タメスティもノリノリで応じている。弦楽四重奏曲はモーツァルトへのどぎついオマージュとも言える、これまた佳作。