岡本稔◎音楽評論家
サイモン・ラトル(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(キング・インターナショナル)KKC-9083
(2CD+1ブルーレイディスク)
9720円
明晰なタッチでシューマンの抒情を描き出した現代的名演
ベルリン・フィルの自主製作レーベルの初リリースにあたる。2013年にライヴ収録されたもの。いずれもラトルならではの
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ユニバーサル)UCBG-9171/2(2DVD)
6048円
没後25周年を迎えたカラヤンが得意としたブラームスの名演
カラヤンの没後25年を記念したリリースのひとつ。1973年にベルリンのフィルハーモニーで収録。カラヤンが長年、執念を持って臨んだ映像による記録が良好な形で実現されたディスクといえるだろう。第1番は作品にふさわしいスケール感をたたえたもの。第2番では田園的な味わいを的確に表出。第3番は作品が持つ古典的な側面を際立たせ、その魅力をありのままに表現したものである。第4番は劇的な内容を過剰な身振りを排して描き出した名演だ。
伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト
アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
(キングインターナショナル)KKC-5385
3086円
メルニコフの明快な音色など現代の名盤
ピアノのメルニコフが所有する1828年頃製作のフォルテピアノ、ヴァイオリンのファウストは1704年製のストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、チェロのケラスは1696年製のジョフレド・カッパの楽器を使用した「大公」が登場。全体を支えリードするメルニコフの明快な音色、流麗にうたうファウストの響き、抒情的なジャン=ギアン・ケラスの低音が美しく緊迫感あふれるトリオを生み出し、現代の名盤に名乗りを上げている。
●ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番
●プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
●イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」、他
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ウラディーミル・ヤンポリスキー(ピアノ)
(オクタヴィア)OVCL-00541 3456円
類いまれな緊迫感と集中力が支配し、身が引き締まる
いまだ人気の衰えないオイストラフの貴重な盤が日の目を見た。1955年に初来日した際の初日、2月23日の東京・日比谷公会堂におけるライヴである。解説書には当時国交のなかったソ連からの招
石戸谷結子◎音楽ジャーナリスト
ランス・ライアン(ジークフリート)
ニナ・シュテンメ(ブリュンヒルデ)ほか
ダニエル・バレンボイム(指揮)
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ギー・カシアス(演出)
(NHKエンタープライズ)
NSBS-19838 ※BD 12528円
NSDS-19840 ※DVD 10152円
背景の映像が歌に合わせ刻々変化する視覚的に美しい舞台
バレンボイムによるスカラ座の「指環」4部作の後半。前半に比べ、格段に洗練された視覚的に美しい舞台だ。背景の映像が歌に合わせて刻々と変化し、ドラマを雄弁に物語る。近年はメットのようにスペクタクルがコンセプトの「指環」もあるが、こちらは色彩がコンセプト? 最大の聴きどころは終幕でブリュンヒルデが目覚めてから。ニナ・シュテンメがキャストの中では飛び抜けて巧く、最終場面でワーグナーの豊穣な音が舞台を満たしてくれる。