岡本稔◎音楽評論家
●ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、3番、10番、ベートーヴェン:交響曲第1番より第1楽章、シューマン:「マンフレッド」序曲、他
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
(ソニー)SICC-1751
1800円
指揮者ヤルヴィの魅力ある演奏を集めたダイジェスト盤
ブラームスの3つの「ハンガリー舞曲」はいずれも作曲者自身の編曲によるもの。良く親しまれた小曲ながら、ヤルヴィの手にかかると、さまざまな魅力が凝縮された小宇宙と化す。ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番、交響曲第1番の第1楽章、第7番の第4楽章も清新な魅力に満ち
●ベートーヴェン:合唱幻想曲
レイフ・オヴェ・アンスネス(指揮)
マーラー・チェンバー・オーケストラ
プラハ・フィルハーモニー合唱団
(ソニー)SICC-30182
2808円
室内楽的な対話の妙が発揮されたアンスネスの弾き振り
2014年のライヴ録音で、アンスネスとマーラー・チェンバー・オーケストラのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集の完結編にあたる。アンスネスによる弾き振りの演奏。ピアノ協奏曲第5番では堂々とした風格を醸し出すが、威圧的に傾くことはなく、室内楽的な対話の妙が発揮されている。ソロは細やかなニュアンスに富んだもので、ベートーヴェンの詩的な情緒が余すところなく表現されている。「合唱幻想曲」も演奏機会のさほど多くない作品に光をあてたもの。
伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト
●マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-1691
3024円
情感豊かな温かい響きの円熟味あふれる演奏
ベートーヴェンのピアノ・ソナタはピアニストにとって「バイブル」のような存在だといわれるが、その32曲の録音をマウリツィオ・ポリーニは1975年から39年という年月をかけて完成させた。最後はソナタ第16番~第20番。この間、演奏は理知的でコンピューターのように精確なものから徐々に人間味豊かなものへと変貌。この録音では情感豊かな温かい響きを備えた、円熟味あふれる演奏を聴かせている。新たなポリーニが発見できる盤。
石戸谷結子◎音楽ジャーナリスト
●ジモーネ・ケルメス(フィオルディリージ)
マレーナ・エルンマン(ドラベッラ)、ほか
テオドール・クルレンツィス(指揮)
ムジカ・エテルナ
(ソニー)SICC-30183/5
6480円
大胆な解釈と躍動感、繊細でよく歌う個性的なモーツァルト演奏
若き革命児?クルレンツィスのダ・ポンテ3部作、第2弾。ロシアのウラル山脈のふもとに位置するというペルミ歌劇場で、大胆な解釈の演奏を行っているクルレンツィス。今回も躍動感に
●「ウィンター・ワンダーランド」/「そりすべり」/「セントラル・パーク・セレナード」、ほか全13曲
ルネ・フレミング(ソプラノ)
ルーファス・ウェインライト(ヴォーカル)
クリス・ボッティ(フリューゲルホルン)
ブラッド・メルドー(ピアノ)、ほか
(ユニバーサル)UCCD-1407
2808円 ※SHM-CD
多彩なゲストを迎え、米の名ソプラノが送るクリスマス・アルバム
クリスマスの季節は名歌手によるクリスマス・ソングの発売が恒例だが、今年はフレミングの新譜がお目見えした。ジャズのナンバーが中心で、学生時代にジャズ・クラブでアルバイトをしていたこともあるというフレミングならではの本格的な歌唱だ。共演しているのはトランペットのウィントン・マルサリスやボーカルのグレゴリー・ポーターなど、ジャズ界の大御所。ニューヨークのクリスマスらしい、ゴージャスで都会的なおしゃれなアルバムだ。