新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

ブラームス:交響曲第2番

ブラームス:交響曲第2番

●ブラームス:「大学祝典序曲」、「悲劇的序曲」
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
(ソニー)SICC-10239 3240円

重厚長大といわれる作曲家のイメージを一新させる

 ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルによる「ブラームス・プロジェクト」の第1弾。彼らが本格的にブラームス全曲演奏に着手したのは2014年の来日時。その時の演奏は未完成の部分が散見されたが、この録音では極めて高い水準に到達している。ヤルヴィのベートーヴェン解釈の延長上にあるといえばよいだろうか。 溌剌 はつらつ とした生気が全曲にみなぎり、一般に言われる重厚長大というブラームスのイメージを一新するインパクトがある。

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
ダニエル・バレンボイム(指揮)
ベルリン・シュターツカペレ
(ユニバーサル)UCCG-1754 3024円

満を持して名曲に挑んだパティアシヴィリの高い完成度

 チャイコフスキーの協奏曲はバレンボイムからの強い要請があって共演が実現されたという。「あまりに多くのヴァイオリニストがこの作品を演奏しているから」という理由で手掛けるのを避けてきたバティアシュヴィリが満を持して挑んだ演奏は、極めて完成度の高いもの。作品のスケールの大きさと音色の豊かさは特筆に値する。成功の背景には、バレンボイムの熟達の伴奏がある。民族性を明らかにしたシベリウスも同様に極めて魅力的だ。

室内楽・器楽

伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト

ラン・ラン
ライヴ・イン・ヴェルサイユ

ラン・ラン ライヴ・イン・ヴェルサイユ

●ショパン:スケルツォ(全4曲)●チャイコフスキー:「四季」より4曲
ラン・ラン(ピアノ)
(ソニー)SIBC-206 5076円(DVD)

晴れやかで豊に歌う演奏で聴き手を作品に近づける

 ラン・ランの快進撃が続いている。先ごろリリースされた「ロイヤル・アルバートホール・コンサート」(DVD)のラン・ランの熱演とそれに呼応する会場の熱気もすごかったが、このヴェルサイユ宮殿の演奏では美しい鏡の回廊という場所と相 って、華麗で上質なショパンとチャイコフスキーが全編を覆っている。両作曲家ともフランスを愛した。その思いがラン・ランの晴れやかで豊かに歌うピアノからあふれ出て、聴き手を作品へと近づける。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

ディミトリス・ティリアコス(ドン・ジョヴァンニ)
ミルト・パパタナシュ(ドンナ・アンナ)、ほか
テオドール・クルレンツィス(指揮)
ムジカエテルナ
(ソニー)SICC-30287/9 6480円

過激で刺激的、劇的な演奏でダ・ポンテ3部作を締めくくる

 クルレンツィスによる、ダ・ポンテ3部作が待望の完結。嵐のような出だしでデモーニッシュな世界に投げ込まれる。これほど過激で刺激的でドラマチックな「ドン・ジョヴァンニ」があったろうか。速いテンポで曲が突き進むかと思えば、アリアや二重唱では旋律を甘く聴かせる。珍しい楽器を加えたピリオド楽器の典雅な響き、アリアではフォルテピアノやリュートなどが大活躍し、装飾音符も自在に駆け回る。演技力抜群の旬の実力派歌手が揃い、その巧さに感嘆。

カレーラス~ザ・グレイテスト・ヒッツ50

カレーラス~ザ・グレイテスト・ヒッツ50

●プッチーニ:歌劇「トスカ」より「星は光りぬ」/レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」より「衣裳をつけろ」/ララ:「グラナダ」/クルティス:「帰れソレントへ」、ほか全25曲
ホセ・カレーラス(テノール)
(ユニバーサル)UCCD-1436/7 3900円

古希を迎えた人気テノールのベストアルバムで美声を堪能

 2016年12月5日で70歳を迎えたカレーラスは今年も来日してファンを魅了した。それを記念して数枚のアルバムが発売される。この2枚組は、全盛期に録音されたオペラ・アリアとポピュラー曲を50曲集めている。オペラ・アリア25曲のなかには、珍しいアリアも数曲あり、カレーラスのレパートリーの広さと歌いまわしの巧みさに改めて感心させられた。またポピュラー曲の巧さは他の追随を許さないほどで、甘い美声と切々とした歌い方を堪能できる。