新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

メンデルスゾーン:交響曲全集(第1番~第5番)

メンデルスゾーン:交響曲全集(第1番~第5番)

ヤニック・ネゼ=セガン(指揮)
ヨーロッパ室内管弦楽団
(ユニバーサル)UCCG-1769/71(3CD) 5400円

活躍が顕著なネゼ=セガンの勢いをありのままに反映

 フィラデルフィア管の音楽監督をつとめ、2020年にはメトロポリタン・オペラの音楽監督に就任が決まっている、今、最も活躍が顕著な指揮者ネゼ=セガンの勢いをありのままに反映したライヴ録音。ヨーロッパ室内管から音楽する喜びを十全に引き出した演奏はどれをとっても精彩に満ち あふ れている。15歳の作曲者の才能が輝く第1番、円熟期の傑作の数々も極めて魅力的。第2番「賛歌」ではユニークな作品の全貌を明らかにしている。

ウィーン・フィル
サマーナイト・コンサート2017

ウィーン・フィル サマーナイト・コンサート2017

●ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」、歌劇「ルサルカ」より“月に寄せる歌”
●チャイコフスキー:「眠りの森の美女」より
●ラフマニノフ:「黄昏」●ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲より、他
ルネ・フレミング(ソプラノ)
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ソニー)SICC-30450 2808円

「おとぎ話と神話」をテーマに行われたウィーンの夏の風物詩

 5月25日にウィーンのシェーンブルン宮殿で開催された今年のサマーナイト・コンサートのライヴ。今回のテーマは「おとぎ話と神話」。それに従った名曲の数々が生き生きと演奏されている。ドヴォルザークの「謝肉祭」序曲に始まり、歌劇「アルミーダ」、「ルサルカ」のアリアではフレミングが共感豊かな歌唱を聴かせる。エッシェンバッハは続けて取り上げられたロシアの作品、そして、ジョン・ウィリアムズでも的確に作品の魅力を引き出す。

音楽史・バロック

安田和信◎音楽評論家

ルクレール:ヴァイオリン協奏曲集作品7より第1番ニ短調、第3番ハ長調、第4番へ長調、第5番イ短調

ルクレール:ヴァイオリン協奏曲集作品7より第1番ニ短調、第3番ハ長調、第4番へ長調、第5番イ短調

ファビオ・ビオンディ(ヴァイオリン)
エウローパ・ガランテ
(グロッサ)GCD-923407 オープン価格 ※輸入盤 
〈2016年録音〉

多彩なアイデアで作曲家の真価を示したビオンディ

 フランスで初めてイタリア風のヴァイオリン音楽に本格的に取り組んだジャン=マリ・ルクレール(1697~1764)の協奏曲集。かつてあまりにも艶やかなソナタ集の録音を世に出したビオンディが、相変わらず多彩なアイデアを盛り込んで、高度な演奏技巧と旋律の創意に あふ れるこの作曲家の真価を示した。豪華な通奏低音を伴うオケも独奏者を鼓舞するかのように積極的な表現を見せるが、オケの部分も長いルクレールにはちょうど良い。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

ビゼー:歌劇「カルメン」

ビゼー:歌劇「カルメン」

トーマス・ビーチャム(指揮)
フランス国立管&合唱団
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(カルメン)、ニコライ・ゲッダ(ドン・ホセ)、ジャニーヌ・ミショー(ミカエラ)、エルネスト・ブラン(エスカミーリョ)、ほか
(ワーナー)WPGS-10009 8316円
(SACDシングルレイヤー、3CD)
※EMI原盤、日本語歌詞対訳つき

主役のロス・アンへレス、ゲッダの声が魅力の往年の名録音

 サーの称号を持つ、トーマス・ビーチャム。定評あるフランス・オペラを指揮した名盤が、SACDで よみがえ った。カルメンを歌うソプラノのロス・アンヘレスは、澄んだ声で小粋なカルメンを表現。ホセは清潔感のある端正な美声が特徴のニコライ・ゲッダ。ビーチャムの指揮は悠揚迫らぬスケール大きい優雅な演奏で、主役2人もゆったりと構え、レコード全盛時代の良き時代の雰囲気を漂わせている。 台詞 せりふ のほとんど入らないグランド・オペラ版での演奏。

輸入盤

鈴木淳史◎音楽評論家

ペルゴレージ:スターバト・マーテル(ピアノ版)

ペルゴレージ:スターバト・マーテル(ピアノ版)

●ペルゴレージ:スターバト・マーテル(ヒンリクス編ピアノ独奏版)
●スカルラッティ:ピアノ・ソナタ集(K.551/K.9/K.64/K.159/K.380)
マリー=ルイーズ・ヒンリクス(ピアノ)
(CPO)555103 オープン価格

飾り気のないピアノで弾くペルゴレージの美しさ

 お馴染 なじ みの「スターバト・マーテル」をシンプルにピアノ独奏に編曲しただけなのに、これが想像以上に美しい。冒頭部分など駅の待合室で流されたら不覚にも涙してしまいそう。ピアノ独奏ゆえ曲のフォルムもよく見え、この作曲家の奔放さにも改めて気づかされた。以前ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの作品を同様にピアノ編曲して話題になったヒンリクスだが、飾り気のないピアノの行間に抒情が宿る。スカルラッティはいささか平板だが。