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新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

ブラームス:交響曲第3番、第4番

ニューイヤー・コンサート2017

トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)
NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
(ソニー)SICC-30423 2808円

第4番の導入部に自筆譜部分を用いた瑞々しい演奏

 2017年1月にこけら落としされたハンブルクのエルプフィルハーモニーはその斬新な外観と優れた音響効果で話題となっている。新しい本拠を得た北ドイツ放送交響楽団はNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団に名称変更された。このディスクは同ホール初のセッション録音。ヘンゲルブロックはブラームスの演奏にあたっても、ピリオド・アプローチを採用、清新で みず 々しい音楽を紡ぎだしている。第4番では自筆譜にあった導入部が演奏されている。

ディナスティ─王家─ ~バッハ一族のチェンバロ協奏曲集

ベートーヴェン:交響曲全集

●J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第1番、第5番●J.C.バッハ:チェンバロ協奏曲ヘ短調●C.P.E.バッハ:協奏曲ニ短調、他
ジャン・ロンドー(チェンバロ)、ソフィー・ジェント、ルイ・クレアック(ヴァイオリン)、アントワーヌ・トゥーシュー(チェロ)、トマ・ド・ピエールフ(コントラバス)、他
(ワーナー)WPCS-13633 2808円

バッハ一族のチェンバロ協奏曲の魅力を味わう一枚

 ロンドーと6人の音楽家によるアンサンブルによる協奏曲集。アルバムのタイトルは「ディナスティ」というもので、バッハ一族のチェンバロ協奏曲4曲などが収められている。ヨハン・セバスティアン・バッハの協奏曲は第1番と第5番を収録。生命力に満ち あふ れた 闊達 かったつ な音楽は極めて魅力的。ヨハン・クリスティアン・バッハの作とされるヘ短調は疾風 怒濤 どとう の趣を持つ。カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの協奏曲はダイナミックな楽想が特徴的だ。

室内楽・器楽

伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト

祈り~悲しみのトリオ

幻想ポロネーズ、舟歌~ショパン後期作品集

●ラフマニノフ/クライスラー:祈り●ラフマニノフ:悲しみの三重奏曲第2番~ある偉大な芸術家の思い出のために/悲しみの三重奏曲第1番
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
ギードレ・ディルヴァナウスカイテ(チェロ)
ダニール・トリフォノフ(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-1761 3024円

作品の神髄に迫り、濃密な嘆きの歌をうたい上げる

 クレーメルは若手ピアニストの才能をいち早く見つける才能を持ち合わせている。国際コンクールをこまかくチェックし、自分の気に入ったピアニストに直接声をかけ、共演を実現。トリフォノフもクレーメルが高く評価しているピアニストで、チェロのディルヴァナウスカイテとともにトリオでツアーを敢行。息の合った3人のラフマニノフは、まさにこの作品の神髄に迫るもの。憂鬱なエレジー、深い悲しみなど濃密な嘆きの歌をうたい上げる。

音楽史・バロック

安田和信◎音楽評論家

ハプスブルク宮廷の音楽

シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番&第2番

●ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー:3声のソナタ・ナタリティア/聖と俗との音楽的協和より8声のソナタ第2番/ソナタ・ラ・カロリエッタ●ヨハン・ヨーゼフ・フックス:8声のセレナーダ、他
ニコラウス・アーノンクール(チェロ・指揮)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(ワーナー)WPCS-13590/1 2484円
〈1969、70年録音〉

古楽の明日を担おうという気概にあふれる演奏

 初期アーノンクールの名盤の復刻。17世紀後半から18世紀前半、ハプスブルク宮廷で活躍したヨハン・ハインリヒ・シュメルツァーとヨハン・ヨーゼフ・フックスの合奏音楽を集めている。3声から8声まで様々なタイプの作品を比較しつつも、イタリアを基盤としつつ独自の色彩を放つヴァイオリンの音楽の変わらぬ系譜を確認することもできる。より せん 鋭化する以前のアーノンクールたちの演奏だが、古楽の明日を担おうという気概に あふ れる。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

バーバラ・ヘンドリックス マーラー歌曲集

プラシド・ドミンゴ 偉大なるテノール

●マーラー:歌曲集「さすらう若人の歌」/「リュッケルトの詩による5つの歌曲」、ほか
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)
ルーヴェ・デルヴィンイェル(ピアノ、指揮)
スウェーデン室内アンサンブル
(キングインターナショナル)ARV014 オープン価格
※輸入盤、Arte Verum原盤

深い解釈で独自のリート世界を切り開いた名ソプラノのマーラー

 多くの録音が存在するヘンドリックスだが、マーラーの歌曲集はこれが初めてだという。夫君のウーヴェ・デルヴィンイェルの指揮、スウェーデン室内アンサンブルによる、オーケストラ伴奏つき。「さすらう若人の歌」は、現在の彼女の音域によく合っている。後半はリュッケルトの詩による歌曲で、「私はこの世に忘れられ」と「真夜中に」がとてもいい。深い解釈で独自のリート世界を切り開いてきたヘンドリックス、いまも変わらず、人生を静かに歌っている。