新譜CD&DVD一覧

過去のアーティストをみる

新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

ベートーヴェン:交響曲全集

ベートーヴェン:交響曲全集

●ベートーヴェン:交響曲第1~9番
木澤佐江子(ソプラノ)、糀谷栄里子(アルト)、二塚直紀(テノール)、
萩原寛明(バス)、外山雄三(指揮)、大阪交響楽団
(キングインターナショナル)KKC-2704/9 11000円

独自の存在感を示す含蓄に富んだベートーヴェン

 大阪交響楽団創立40周年とベートーヴェン・イヤーの最後を飾る全集。2016年から20年にかけてのライヴ。16年から楽団の要職をつとめる外山が、作品に真正面から向かい、オーケストラの能力をありのままに引き出している。遅めのテンポのもと、じっくりと語り出すベートーヴェンは、ピリオド・スタイルとは無縁だが重厚長大に傾くことはなく、極めて大きな含蓄に富んでいる。数多あまたあるベートーヴェン全集の中でも独自の存在感を示すものだ。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、チャイコフスキー:交響曲第4番

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、チャイコフスキー:交響曲第4番

マリス・ヤンソンス(指揮)
レニングラード・フィル
ライヴ録音:1986年10月19日/サントリーホール
(アルトゥス)ALT-443/4 オープン価格(2CD)

ヤンソンスのより柔軟で繊細な味わいに満ちた音楽

 マリス・ヤンソンスの初来日は1977年。ムラヴィンスキーの副指揮者としての帯同で、大きな注目を集めるまでには至らなかった。ここに収録されているのは、86年に病気のムラヴィンスキーに代わってメインの指揮者を務めた際のもの。このオーケストラのレパートリーの核ともいうべき名曲で、ムラヴィンスキーとは異なる解釈で存在を強く主張した演奏は、今でも耳に鮮烈に残っている。より柔軟で繊細な味わいに満ちた音楽はマリスならではだ。

若杉弘(指揮) ケルン放送交響楽団 WDR録音大集成

若杉弘(指揮) ケルン放送交響楽団 WDR録音大集成

●チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」/弦楽セレナーデ
●ブラームス:交響曲第4番/ハイドンの主題による変奏曲
●ベートーヴェン:交響曲第1番/第3番「英雄」●マーラー:交響曲第9番、他
(アルトゥス)ALT-449 オープン価格(7CD)

作品の性格を的確に描き出し、大きな説得力を持つ

 若杉弘がケルン放送交響楽団(現:WDR交響楽団ケルン)の首席指揮者在任中に遺した録音の集大成ボックス。1977年から83年のケルン時代は若杉がもっとも精力的に活躍し、充実した成果を挙げていた時期に当たる。ここに収録された77年から83年の録音はそれを何より雄弁に物語っている。作品の性格を的確に描き出し、ある種高貴な情感を漂わせながら、豊かに歌い上げるアプローチは大きな説得力を持っている。音楽の推進力も当時の若杉ならでは。

室内楽・器楽

伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集

●ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1~32番/「ディアベッリ変奏曲」
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-40116/28(13CD) 14300円

5度目のピアノ・ソナタ全曲録音、ハンパではない集中力

指揮活動で多忙を極めるバレンボイムが、コロナ禍で3カ月間ピアノを弾くことだけに集中することができ、5度目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を完成させた。類まれなるタフな音楽家として知られるが、このベートーヴェンも集中力がハンパではない。私はソナタ第2番第4楽章の上昇していく旋律が大好きなのだが、ここでバレンボイムはクリアかつ情感あふれる表現で音の粒を天空へと運ぶ。1日1曲じっくり耳を傾けたい。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

「ファン・ディエゴ・フローレス モーツァルトを歌う」

「ファン・ディエゴ・フローレス モーツァルトを歌う」

●モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より
「いとしい人の愛にあふれた吐息は」/歌劇「魔笛」より
「この肖像は魔法のように美しく」、ほか全12曲
フアン・ディエゴ・フローレス(テノール)、リッカルド・ミナーシ(指揮)、
ラ・シンティッラ管
(キングインターナショナル/C Major)
KKC-9593 6620円〈BD〉、KKC-95944620円〈DVD〉
※日本語字幕・解説書付き

満を持してモーツァルトを歌い始めた人気テノール

近年はザルツブルク音楽祭をはじめ、世界各地でリサイタルを開いているフローレス。これは2017年、ミュンヘンのキュヴィリエ劇場でのライヴだ。いまベルカントからテノーレ・リリコのレパートリーへと大きく変貌を遂げているフローレスだが、モーツァルトは満を持して歌い始めた。今回は「皇帝ティートの慈悲」や「イドメネオ」など、今後彼のレパートリーになる重要アリアが並んでいるのが興味深い。ミナージ指揮のラ・シンティッラ管の演奏も聴きもの。