岡本稔◎音楽評論家
●交響曲第39番、第40番、第41番
ニコラウス・アーノンク−ル(指揮)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(ソニー)SICC-30170/1(2CD)
3240円
比類ない音楽の深さを備えたモーツァルト3大交響曲
2013年のウィーンのムジークフェラインにおけるライヴ。アーノンクールにとって、これら3曲の録音は3度目にあたる。初回のロイヤル・コンセルトヘボウ管(1982-84)、2回目のヨーロッパ室内管(1991)
も優れた演奏だったが、今回のコンツェントゥスの録音はそれらを大きく
内田光子(ピアノ&指揮)
クリーヴランド管弦楽団
(ユニバーサル)UCCD1399
2808円
モダン楽器によるモーツァルト演奏の一つの理想
内田の弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲シリーズの第4弾にあたる。
これまでの演奏と同様に音楽は自在に飛翔し、天衣無縫の楽想を生き生きと歌い上げる。第19番の第1楽章の軽やかな味わい、第2楽章の
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ワーナー)WPCS-12823
1512円
カラヤン1970年代の自信に満ちあふれた演奏
カラヤン没後25年を記念して、旧EMIに残された録音が最新のリマスターを施されて発売された。第1回発売は、カラヤンとベルリン・フィルが最も充実した活躍を展開していた1970年代の演奏を中心とした24タイトルである。「英雄の生涯」は1974年の収録。オーケストラを完全に掌握したことを実感させる隅々まで自信に満ちあふれた演奏で、機能性と洗練を極めた色彩感によって作品の魅力を余すところなく描き出している。ヴァイオリンのソロも魅力的だ。
伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト
●ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番
●ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番
●ペンデレツキ:ラ・フォリア
●プレヴィン:ヴァイオリン・ソナタ第2番、他
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ランバート・オーキス(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-1662/3
2484円
オーキスと出会い才能が大きく開花したムター
アンネ=ゾフィー・ムターはランバート・オーキスとの幸せな巡り会いにより才能が大きく開花し、「ヴァイオリンの女王」と称される実力派へと歩みを進めた。「シルヴァー・アルバム~ムター&オーキス25年の軌跡」は、そんなふたりの歩みが詰まったもので、ペンデレツキがムターに捧げた「ラ・フォリア」とプレヴィンが彼女に捧げたソナタ第2番の世界初録音が含まれている。ソナタからアンコールピースまで多彩な選曲で、名演に酔える。
石戸谷結子◎音楽ジャーナリスト
ランス・ライアン(ジークフリート)
イレーネ・テオリン(ブリュンヒルデ)ほか
ダニエル・バレンボイム(指揮)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ギー・カシアス(演出)
(NHKエンタープライズ)
NSBS-19839 12428円 ※BD
NSDS-19841 10152円 ※DVD
重厚な指揮のバレンボイム、声量豊かで大迫力の歌唱のテオリン
バレンボイム指揮スカラ座「指環」全曲の最後。前3作と同様、演出はカシアスで振付はシェルカウイ。そのコンセプトは4作とも同じ「印象派」で、音楽や物語の雰囲気を背景の映像に映し出すだけ。色彩は美しく映像は雄弁だが、4作続くと新鮮味は薄れる。ブリュンヒルデ役のテオリンは大音量で大迫力。対するジークフリート役のライアンは不調で性格描写も希薄だ。聴きものはバレンボイムの重厚な指揮で、オーケストラが雄弁に語る。