新譜CD&DVD一覧

過去のアーティストをみる

新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

シューベルト:交響曲全集

シューベルト:交響曲全集

ニコラウス・アーノンクール(指揮)
ヨーロッパ室内管弦楽団
(ナクソス)NYCX-10253 6600 円(4CD)

気心が通じた仲間たちとともに音楽する喜びに溢れる

 アーノンクールによるシューベルトの交響曲全集のリリースは3組目。ロイヤルコンセルトヘボウ管(1992)、ベルリン・フィル(2003~06)が出ているが、こちらはヨーロッパ室内管と1988年のシュティリアルテ音楽祭で集中して収録されたもの。この指揮者は共演するオーケストラによって柔軟に対応する一面をもっていた。この演奏を聴いても、それが実感される。気心が通じた仲間たちとともに音楽する喜びに満ち溢れており、独自の存在感を持つ。

ブルックナー:交響曲第7番[1992年ベルリン・ライブ]

ブルックナー:交響曲第7番[1992年ベルリン・ライブ]

セルジュ・チェリビダッケ(指揮) ベルリン・フィル
(ソニー)SICC-10372 5500円(2SACDハイブリッド)

指揮者とオーケストラに生まれるただならぬ緊張

 1992年にチェリビダッケが38年ぶりにベルリン・フィルの指揮台に立った際の映像から、初のCDでの発売。オリジナルのLDマスターからDSDマスタリングによるSACDハイブリッドによる音質はかなり良好で情報量が豊富だ。チェリビダッケはこの演奏の出来栄えには不満があったと伝えられるが、全て指揮者の言いなりにならず、独自の個性も主張するスーパー・オーケストラとの間に生まれるただならぬ緊張感には、また別のスリリングな魅力がある。

室内楽・器楽

伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト

バッハ:イギリス組曲第1~3番

バッハ:イギリス組曲第1~3番

●バッハ:ピアノ協奏曲第1番 ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
デイヴィッド・ジンマン(指揮) ロンドン交響楽団
(ユニバーサル)UCCD-45014/5 3520円(2CD)

2019年の「イギリス組曲」と1965年のバッハ初録音

  2020年コンサート活動から引退を表明したアシュケナージが、19年に録音したバッハ「イギリス組曲」がリリースされた。ボーナストラックには1965年に初めてバッハの録音を行ったピアノ協奏曲第1番が収録され、若き時代と現在の演奏に触れることができ、興味深い。「イギリス組曲」は各舞曲が個性的で高度な技巧が要求され、長大な形式美を誇る。それをアシュケナージは温かく親密的な音で紡ぎ、バッハに寄り添う。

バッハ:アート・オヴ・ライフ

バッハ:アート・オヴ・ライフ

●J.C.バッハ:ソナタ第5番J.C.F.バッハ:「ああ、お母さん聞いて」による変奏曲●「アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳」から●J.S.バッハ:フーガの技法、他 ダニール・トリフォノフ(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-45035/6 3850円(2CD)

「フーガの技法」をメインにバッハ一家の作品が並ぶ

 世界中で引っ張りだこの人気と実力を兼ね備えたピアニストに成長したダニール・トリフォノフが、J.S.バッハの晩年の傑作「フーガの技法」をメインに据えた画期的なアルバムを世に送り出した。4人の息子と2番目の妻アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳などバッハ一家の作品が並び、「フーガの技法」へとつなげ、最後は「主よ、人の望みの歓びよ」で音楽は天空へと飛翔する。解説でのトリフォノフの言葉も興味深く、繰り返して聴き込む。

輸入盤

鈴木淳史◎音楽評論家

ザ・プルースト・アルバム

ザ・プルースト・アルバム

●アーン:ピアノ協奏曲/ワルツ《ニネット》/夜想曲
●フォーレ:水のほとりで/秘密●フランク:前奏曲●イザイ:マズルカ
●シャミナード:スペインのセレナード●ドビュッシー:喜びの島
●ワーグナー:エレジー、他
シャニ・ディリュカ(ピアノ),エルヴェ・ニケ(指揮),パリ室内管弦楽団,ナタリー・デセイ(ソプラノ),
ピエール・フシュヌレ(ヴァイオリン)、他
Warner 9029667625 オープン価格

「ヴァントゥイユのソナタ」はサロン風だった?

 リリカルで透明感をもったピアニストのディリュカによる、プルーストの生誕150周年を記念するアルバム。この文豪と関係が深かったアーンのピアノ協奏曲は、作曲家の指揮による演奏もあるものの、貴重な新録音。目玉は、「失われた時を求めて」作中の架空の音楽作品、ヴァントゥイユのソナタの創造として、アーンの「夜想曲」にイザイとシャミナードの作品を3曲並べる。サロン風の組曲にも聴こえてしまうが、実にユニークな試み。