新譜CD&DVD

交響曲・管弦楽曲・協奏曲

岡本稔◎音楽評論家

シベリウス:交響曲全集(交響曲第1~7番)

シベリウス:交響曲全集(交響曲第1~7番)

サイモン・ラトル(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(キング・インターナショナル)KKC-9137
(CD、ブルーレイビデオ、ブルーレイオーディオ) 14040円

ラトルのシベリウス演奏の集大成

 シベリウスの生誕150周年を記念して2014年から15年にかけて行われたチクルスをライヴ収録したもの。ラトルはバーミンガム市交響楽団の時代からシベリウスを好んで取り上げていたが、このベルリン・フィルとの演奏はその集大成ともいうべき圧倒的なもの。シベリウスの音楽のイディオムを的確に表現し、それぞれの作品の全体像をありのままに描き出している。CDの他にBlu-rayオーディオ、ビデオのディスク、さらにはハイレゾ音源のダウンロード・パスワードがつく。

ジョヴィンチェロ~バロック協奏曲

ジョヴィンチェロ~バロック協奏曲

●ハイドン:チェロ協奏曲第1番、ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲、プラッティ:チェロ協奏曲、ボッケリーニ:チェロ協奏曲、グラツィアーニ:チェロ協奏曲
エドガー・モロー(チェロ)
リッカルド・ミナーシ(指揮&ヴァイオリン)
イル・ポモ・ドーロ
(ワーナー)WPCS-13320 2808円

ガット弦を張ったモダン楽器でソロが浮かび上がる

 2015年の収録。エドガー・モローは1994年にパリに生まれた若手チェロ奏者。この2枚目のアルバムには、ピリオド楽器によるオーケストラとともに演奏したバロックから古典派初期のチェロ協奏曲が収められている。バロック弓をもって演奏するオーケストラとの共演で、モローはガット弦を張ったモダン楽器で臨んでいる。その結果、ソロがくっきりと浮かび上がる図式が生まれている。ハイドンの名作ばかりでなく、プラッティらの作品でも生命力に満ち溢れた演奏を展開している。

オペラ&声楽

石戸谷結子◎音楽評論家

ドミンゴ
ザ・50グレイテスト・トラックス

ドミンゴ

●ヴェルディ:歌劇「リゴレット」より「女心の歌」/プッチーニ:歌劇「トスカ」より「妙なる調和」「星は光りぬ」/カルディッロ:「カタリ・カタリ」/ガルデル:「想いの届く日」ほか、全50曲
プラシド・ドミンゴ(テノール、バリトン)
(ユニバーサル)479 5321 ※2CD(GM原盤)、輸入盤

75歳を記念してオペラや民謡などから50の歌を厳選したベスト盤

 なんとドミンゴは1月21日で75歳を迎えるという。その節目を記念してグラモフォン・レーベルに残された音源から、2枚組50タイトルを選んだアルバム。1枚目はオペラで、2枚目はよりポピュラーなサルスエラ、歌曲、ナポリ民謡、オペレッタなどを集めている。1枚目は1972年(ドミンゴ30歳)の若々しい声から2005年までのイタリア・オペラからワーグナーまでが集められていて、改めてドミンゴの輝かしい力強い声を堪能でき、偉大さを実感できる。

輸入盤

鈴木淳史◎音楽評論家

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、他

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、他

●ブラームス:ヴァイオリン協奏曲/弦楽五重奏曲第2番(ヴァイトハース&シュトイリ編弦楽オーケストラ版)
アンティエ・ヴァイトハース(ヴァイオリン&指揮)
カメラータ・ベルン
(CAvi Music)4260085533282
オープン価格

弦楽五重奏曲を流麗極まりない弦楽合奏に

 アルカント四重奏団の奏者としても活躍するヴァイトハースのソロと指揮を堪能できる一枚。弦楽五重奏曲の弦楽合奏版のなんという みず 々しさ。原曲の重ったるさがまるでないのだ。この流麗極まりないアンサンブル、まるでアルカント四重奏団のオケ版とでもいいたくなる。この四重奏団の響きもやはりヴァイトハースの設計だったのだ。禁欲的ながらニュアンスに富んだヴァイオリン協奏曲の伴奏もいい。もちろん、彼女の繊細なソロも。

ローマ賞コレクション─
デュカス:カンタータ集

ローマ賞コレクション─ デュカス:カンタータ集

●デュカス:水の精/ミルテの祝祭/セメレ/死者の追憶/太陽への讃歌/
水の精と水夫/ヴェレダ/序曲「ポリュークト」/ヴィラネル(ホルンと管弦楽版)
エルヴェ・ニケ(指揮)
ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団
(Ediciones Singulares)ES-1021 オープン価格

若きデュカスの意欲が表れたカンタータ

 ニケのローマ賞シリーズ第5弾。大賞受賞者ばかりでなく落選者も収録するシリーズで、「ヴェレダ」が2位に留まったデュカスもその一人。寡作で知られるこの作曲家の若い時期のカンタータ作品を収録している。「ヴェレダ」や「セメレ」は、オペラのようにドラマティックながら、当時では斬新な管弦楽法も顔を のぞ かす。いずれもなかなかレアな作品ばかりだが、「ポリュークト」序曲をニケの淀みない指揮で聴けるのが至極の歓び。