お薦めコンサート

石合 力◎朝日新聞編集委員

存続危機の神戸市室内管、森谷・大西共演で喜歌劇《スザンナの秘密》

■第47回霧島国際音楽祭 ファイナル・オーケストラ・コンサート

8月9日(日)13:00 みやまコンセール

ベン・グラスバーグ(指揮)、セルゲイ・クリーロフ(ヴァイオリン)、ファイナル・コンサート・オーケストラ
ブラームス:大学祝典序曲、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、ブラームス:交響曲 第3番
(開催期間は7月24日〜8月9日。公演のプログラムや出演者、オープン・レッスンなど音楽祭全体の詳細は https://kirishima-imf.jp/ 参照)

■小林資典指揮神戸市室内管弦楽団 第174回定期演奏会〈喜歌劇「スザンナの秘密」〉

8月1日(土) 15:00 神戸文化ホール 大ホール

籔川直子(演出) 、森谷真理(ソプラノ) 大西宇宙(バリトン) いいむろなおき(黙役)
ストラヴィンスキー:組曲《プルチネルラ》、ヴォルフ=フェラーリ:喜歌劇《スザンナの秘密》(セミ・ステージ形式)

■佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ2026

8月29日(土)17:00、30日(日)14:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス、ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》、他


 主に西日本の演奏会から紹介する。毎夏恒例の鹿児島・霧島国際音楽祭。9日のクライマックスは、国内主要オケの首席クラスで編成する祝祭管メンバーに音楽祭の受講生が加わる「ファイナル・コンサート・オーケストラ」による演奏会。ウィーン・フォルクスオパーの音楽監督などを歴任した英国の俊英ベン・グラスバーグの指揮で、ブラームスの交響曲第3番などを演奏する。シベリウスのヴァイオリン協奏曲の独奏は同音楽祭常連のセルゲイ・クリーロフ。前日の8日には、過去の音楽祭受賞者によるガラ演奏会で藤田真央(ピアノ)、カルテット・アマービレが登場する。
 自治体からの補助金停止方針で存続危機にある神戸市室内管。8月の定期では、ヴォルフ=フェラーリの喜歌劇《スザンナの秘密》をセミ・ステージ形式で取り上げる。指揮は、ドイツ・ドルトムント市立歌劇場の音楽総監督代理兼第一カペルマイスターの小林 資典 もとのり 。伯爵夫人スザンナを森谷真理(ソプラノ)、ジル伯爵を大西宇宙(バリトン)が歌い、マイム俳優のいいむろなおきが黙役のサンテを演じる。危機の中で芸術の本質を極める姿勢を支持したい。
 佐渡裕が率いる「スーパーキッズ・オーケストラ」が《展覧会の絵》などに挑む。オーディションで選ばれた小学生から高校生までの弦楽アンサンブルは、優れたソリスト、演奏者を輩出する若手の登竜門だ。その一人、小川響子が加わる葵トリオの室内楽マスタークラスにも注目。トリオと受講生による成果発表会は無料だ(全3回+成果発表会 8月17日(月)10:00/18日(火)10:00/19日(水)13:00+18:00 住友生命いずみホール)。


清宮美稚子◎本誌編集

新アーティスティック・アドヴァイザー就任、夏の草津でバッハと涼もう

■角田鋼亮指揮 読響サマーフェスティバル2026「三大協奏曲」

8月18日(火)18:30 東京芸術劇場 佐々木つくし(vn) 水野優也(vc) 角野未来(p)

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザーク:チェロ協奏曲、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

福村太一指揮 読響サマーフェスティバル2026「三大交響曲」

8月22日(土)  14:00 東京芸術劇場

シューベルト:交響曲第7番《未完成》、ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》、ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界から》
〔23日(日)に上田市でも公演あり〕

■第46回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル
 オープニング・コンサート~バロックの絢爛 世紀末の爛熟

8月17日(月)16:00 草津音楽の森国際コンサートホール

ヨハンナ・マラングレ(指揮) 群馬交響楽団、クラウディオ・ブリツィ(cemb)
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲ニ短調、バッハ/マーラー編:管弦楽組曲第2番・第3番より、ブラームス:交響曲第4番、他

■鐵百合奈ピアノリサイタル
「未完という永遠——シューベルト《レリーク》の彼方へ」

8/9(日)14:00 豊洲シビックセンターホール

シューマン:《森の情景》より、オーンスタイン:《森の朝》、ラヴェル:《鏡》 、リスト:《灰色の雲》、シューベルト:ピアノ・ソナタ第15番《レリーク》


 毎年楽しみな夏の読響「三大協奏曲」。気鋭のソリスト3人が定番の名曲で競演するが、今年の3人は、ベルリン・フィルのカラヤンアカデミーで研鑽を積む佐々木つくし、オーケストラへの客演首席や室内楽にも積極的な水野優也、フランスを拠点に国内外で活躍する角野未来。一方、「三大交響曲」を振るのは、2023年マーラー国際指揮者コンクール第2位、現在クリーヴランド管アシスタント指揮者およびイリノイ響音楽監督を務める福村太一。その日本デビューに注目だ。
 夏の草津、今年は〈Bach is Cool バッハと涼もう〉をテーマに、バッハおよび同時代の作曲家、バッハから影響を受けた後世の音楽家たちの作品に光を当てる。冒頭にはそのオープニング・コンサートを掲げたが、8月17日から31日まで、メイン会場の草津音楽の森国際コンサートホールでは18公演が行われる(詳細はHP参照)。今年の4月、ルツェルン音楽祭芸術監督を25年務めたミヒャエル・ヘフリガーがアーティスティック・アドヴァイザーに就任した。今後がますます楽しみだ。
 鐡 てつ 百合奈で記憶に新しいのは、2017年にNHKで放映された「若手ピアニスト頂上決戦~第86回日本音楽コンクール・ドキュメント」。当時高校2年生の吉見友貴が第1位、鐡は第2位だった。2018年高松国際ピアノコンクール審査員特別賞。着実に実績を重ね、ライフワークのベートーヴェンではソナタ全集のCDが高く評価されている。学術・評論分野での活躍は、本誌にもたびたび寄せている素晴らしい論考からもお馴染みだろう。「シューベルトの未完の作品は、ときに完成された作品以上に、深い余韻を残します」と語る鐡のシューベルトに静かに耳を傾けたい。