お薦めコンサート

石合 力◎朝日新聞編集委員

神戸市室内管、混声合唱団との《ファウストの劫罰》で存続の号砲

■佐藤正浩指揮神戸市室内管弦楽団・神戸市混声合唱団 合同定期演奏会
 ベルリオーズ 劇的物語《ファウストの劫罰》(演奏会形式)

12月5日(土)15:00  神戸文化ホール

宮里直樹(テノール)、黒田祐貴(バリトン)、浜田理恵(ソプラノ)、松森治(バス)、
夙川エンジェルコール、他

■アルヴォ・ヴォルマー指揮日本センチュリー交響楽団 第302回定期演奏会

12月4日(金)19:00   ザ・シンフォニーホール 佐藤晴真(チェロ)

ブラームス:悲劇的序曲、ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番、ブラームス:交響曲第3番

■ヨーゼフ・ラスカ&大澤壽人 作品演奏会
 ―阪神間モダニズムからボストン・パリ・ウィーンまで―

12月1日(火)19:00   兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
平田葉子・林典子・蜷川千佳(p)、渡戸由布子(cb)、他

J.ラスカ:《7つの俳句》、大澤壽人:コントラバス協奏曲(〈生誕120年記念〉小久保綾子によるピアノ編曲版・世界初演)、他

 主に西日本の演奏会から紹介する。神戸市からの補助金を大幅に減額して存続の方針を打ち出した神戸市室内管弦楽団が、姉妹団体の同市混声合唱団との合同定期演奏会で、ベルリオーズの大作《ファウストの劫罰》を取り上げる。合唱団の音楽監督を務める佐藤正浩が一昨年の《ファルスタッフ》に続いて指揮する。プロのオケと合唱団をともに持つ力量を、存続問題で応援した市民や音楽ファンに示す場になる。U25を1000円とするほか、18歳以下の子ども同伴者の半額割引もある。合唱団は、兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)のジルベスター・ガラ・コンサートにも出演する。オペラの指揮で定評がある園田隆一郎による名場面集、ラヴェルのピアノ協奏曲ほか。ピアノ独奏は務川慧悟。

 日本センチュリー交響楽団が、首席客演指揮者のアルヴォ・ヴォルマーを迎えてショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番とブラームスの交響曲第3番ほか。ヴォルマーは、オペラとコンサートで活躍するエストニアの名匠。作曲活動で忙しい音楽監督久石譲が、オケのトレーナーとしてポストを用意した。チェロ独奏は、ミュンヘン国際音楽コンクールの覇者佐藤晴真。

 戦前にボストン、パリなどで活動し、戦後は関西を拠点にした作曲家大澤壽人(ひさと)(1906~53)と、オーストリア出身の指揮者、作曲家で戦前、関西に滞在したヨーゼフ・ラスカ(1886~1964)に焦点を当てる演奏会にも注目したい。大澤の未発表作品を発掘、初演するプロジェクトの一環。今回はコントラバス協奏曲(小久保綾子によるピアノ編曲版)を世界初演する。


清宮美稚子◎本誌編集

京都でブリテンの記念年を締めくくる《春の交響曲》

■ロームシアター京都10周年&京響70周年
 共同プロジェクト「ブリテン:春の交響曲」

12月4日(金)19:00   ロームシアター京都メインホール

大友直人(指揮)京都市交響楽団、小林沙羅(S)、金子美香(MS)、笛田博昭(T)、
東京混声合唱団、京都市少年合唱団 振付・ダンス/東野祥子 康本雅子
ペルト:ベンジャミン・ブリテン追悼の「カントゥス」/
ラヴェル:クープランの墓/ブリテン:春の交響曲

■エマニュエル・チェクナヴォリアン指揮東京都交響楽団
 プロムナードコンサート No.421

12月13日(日)14:00   サントリーホール

セルゲイ・ババヤン(ピアノ)
ボロディン:歌劇《イーゴリ公》序曲/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、交響曲第4番

■北村朋幹(ピアノ)~メシアン「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」全曲

12月13日(日)15:00   所沢市民文化センターミューズ マーキーホール


 例年にもまして第九公演が多いと感じる12月。ロケットスタートのヴィオッテイが早くも登場する東響、ヤノフスキがキャリアの最後を飾るN響、2つの第九がとりわけ話題を呼びそうだ。ここでは第九以外に目を向けてみたい。

 今年はブリテンの没後50年。11〜12月は新国立劇場の《ピーター・グライムズ》が注目だが、関西では、まさに作曲家の命日に当たる12月4日に声楽付き交響曲の大作《春の交響曲》。記念年を締めくくるにふさわしい豪華歌手陣が揃ったこの公演は、戦争が影を落とす26年の冬から、27年の平和の春へという思いを込めたものになるだろう。

 セルゲイ・ババヤンが久しぶりに来日する。ロシア・ピアニズムを受け継ぐ巨匠で、アメリカでトリフォノフなど多くの才能を育てている名教師でもある。2019年に予定されていた来日はキャンセル、22年3月のリサイタルはロシアのウクライナ侵攻直後で、緊張感張り詰めるステージは観客を圧倒した。今回の来日では王道の協奏曲を弾く。期待は非常に高い。

 北村朋幹がメシアン《幼子イエスに注ぐ20の眼差し》全曲演奏に挑む。休憩ふくめ3時間に及ぶ超大曲。昨年12月ムジカーザでの公演はあっという間に完売、待望の再演となる。北村も来年は記念年に当たるベートーヴェンの演奏が多く予定されている。引き続き注目したい。

 最後にオーケストラ公演を2つ。名古屋フィルの〈カウントダウン・シンフォニー 7〉は尾高忠明指揮で交響曲第7番などオールシベリウス・プロ(12月1日)。日本フィル第786回東京定期は沖澤のどかの指揮で阪田知樹がレーガーのピアノ協奏曲という超難曲に挑む(12月4日)。