新春のザ・フェニックスホールでリサイタル
ベートーヴェン「春」やフランクの名曲を披露
「初めて聴く方にも楽しめるプログラムです」
ロン=ティボー国際音楽コンクールやハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールなどで上位入賞。ドイツを拠点に活躍する若手実力派。新春のリサイタルを大阪のザ・フェニックスホールで行う。
「新春なのでベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番『春』を選びました。フランクのヴァイオリン・ソナタはレコーディングもしています。初めて聴く方も聴きやすいと思います」
「春」はベートーヴェンの初期、30歳から31歳にかけて作曲された。タイトルはベートーヴェンが付けたものではないが、明るく快活な曲想は「春」にぴったり。南にとってベートーヴェンは自分の基準となる作曲家だという。
「『春』のメロディーラインはよく知られていますが、一筋縄ではいかない難しさがあります。ピアノとぴったり合わないとだめなのです。小さい頃から弾いていますから、ベートーヴェンを弾くと家に帰ってきたというか、心が落ち着きます。演奏がおかしくなっていたら、正しい位置に戻してくれる作曲家です。メロディーや和声がとてもピュアで、人の心を勇気づけてくれます」
フランクのヴァイオリン・ソナタもヴァイオリニストなら誰でも手がける名作。1886年に作曲され、同郷(ベルギー)の後輩の名ヴァイオリニスト、イザイの結婚祝いに贈られた。
©Shuichi Tsunoda
「第3楽章のレチタティーボでフランクは熱く語っています。多くに人の心に入ってくる名曲には名曲の素晴らしさがあるのです。その素晴らしさを弾くたびに感じます。だからこそ弾き続けるのです」
ところで、まだハノーファー音楽大学に在籍している。桐朋学園大学を卒業して渡独した。10月には京都市交響楽団と共演するなど日本と行ったり来たりして活動を続ける。
「飛行機を降りた瞬間から日本とは空気感が違います。ヨーロッパの空気を取り込むことが自分にとってよいことなのです。こちらに来て自分では短所だと思っていたところが、他の人には魅力なのだと気づかされました。みな自分の音楽を持ち、それぞれの音楽を尊重しています」
プログラムにはとても耳になじみやすいクライスラーの小品も入っている。
「ピアノの佐藤
1989年、北九州市生まれ。3歳よりヴァイオリンを始める。2004年、第13回アルベルト・クルチ国際ヴァイオリン・コンクール(イタリア)優勝。05年、ロン=ティボー国際音楽コンクール第2位。15年、ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位。フランス国立管弦楽団、サンカルロ歌劇場管弦楽団、ミラノ・スカラ座室内合奏団、ビルバオ交響楽団などと共演。10年第11回ホテルオークラ賞。11年第21回出光音楽賞。篠崎永育、篠崎美樹、西和田ゆう、原田幸一郎、クシシトフ・ヴェグジンに師事。ドイツ・ハノーファー在住。
2020年1月11日(土)13:30
あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」
クライスラー:「愛の喜び」
クライスラー:「プレリュードとアレグロ」
ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
ピアノ:佐藤卓史
ナビゲーター:廣元まさ美(ラジオ大阪パーソナリティ)
問い合わせ:ザ・フェニックスホール 06-6363-7999(平日10時~17時)