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vol.89 広島交響楽団音楽総監督 下野竜也

広島交響楽団音楽総監督 下野竜也
©Naoya Yamaguchi .

令和2年度の定期演奏会のテーマは“讃”
400回記念ガラやアルゲリッチと平和の夕べ
「広島から発信できることがうれしい」

 音楽総監督3年目で、令和2年4月から4年目の定期演奏回などのプログラムが発表になった。
 「3年は短いと思い5年契約にしました。どういう音楽を作ろうとするのか、お互いの癖が分かってきました。オーディションに立ち会ったり、コンサート以外の時間が以外と多いのです」
 大阪フィルの指揮研究員時代の1999年、初めて広響で指揮をして以来、20年がたつ。
 「メンバーの世代交代が進んでよい面がでてきています。秋山和慶先生がずっとやっておられてステップアップされてきた」
 4月からのシーズンは「被爆75年とベートーヴェン生誕250年」の年。そして平和を讃えて「讃」の1文字を当てた。
 「2019年は創立者の井上一清先生が亡くなったり、渡辺暁雄先生が生誕100年だったりしました。前任の方々への敬意と支えて下さった県民、市民、楽団員を讃えつつ、ベートーヴェンを讃える“讃”にしました。記念イヤーは積極的にやるべきです」

広島交響楽団音楽総監督 下野竜也
写真提供:広島交響楽団

 400回記念ガラ(来年5月24日)は、三善晃の「祝典序曲」を下野が振り、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」を首席客演のアルミンクが、R.シュトラウスの名曲を秋山以下3人で振り分ける。ディスカバリー・シリーズ(第1回は6月26日)は、広島出身の作曲家、細川俊夫とベートーヴェンの協奏曲や交響曲などを組み合わせたシリーズ。8月5、6日は「平和の夕べ」コンサート。藤倉大のピアノ協奏曲第4番「Akiko‘s Piano」をマルタ・アルゲリッチが世界初演、アルトの藤村実穂子らをソリストにベートーヴェンの第九を歌いあげる。アルゲリッチは2015年、広響と初共演、今年も8月にワルシャワで共演するなどしている。
 「楽員の独自の動きが増えてきました。みな自分たちが思うものをどんどん出してきてくれます。予定調和でおわりません。細川俊夫さんも大変評判がいい。新しい曲をやっていくことで新しい流れが出てきました。広島から発信できることはうれしいし、やりがいのある仕事です。こういうことをやっていることに注目してもらえたら」

Tatuya Simono

1969年鹿児島生まれ。鹿児島大学教育学部音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部附属指揮教室で学ぶ。イタリア・シエナのキジアーナ音楽院でオーケストラ指揮のディプロマを取得。2000年東京国際音楽コンクール<指揮>優勝と齋藤秀雄賞受賞、2001年ブザンソン国際指揮者コンクールの優勝。読売日本交響楽団の初代正指揮者を経て、同団首席客演指揮者。2014年4月からは京都市交響楽団の常任客演指揮者に、17年4月には、同団常任首席客演指揮者。17年4月広島交響楽団音楽総監督に就任。京都市立芸術大学音楽学部指揮専攻教授、東京音楽大学吹奏楽アカデミー特任教授、東京藝術大学音楽学部指揮科非常勤講師。

ここで聴く

広島交響楽団
ディスカバリー・シリーズ
Hosokawa×Beethoven

1月30日(木)18:45
JMSアステールプラザ大ホール

ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第1番
細川俊夫:旅Ⅵ ヴィオラと弦楽のための
ベートーヴェン:交響曲第4番

定期演奏会

2月21日(金)18:45
広島市文化学園HBGホール

チャイコフスキー:交響曲第1番
伊福部昭:ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲
いずれも指揮は下野竜也
■問い合わせは:☎082-532-3080