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vol.54 ピアノ 崎谷明弘

ピアノ 崎谷明弘

ベートーヴェンのピアノソナタ全集第3巻を発売
「ベートーヴェンを演奏すると心が熱くなります」
「ヤマハのCFXはポテンシャルのある楽器です」

 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集のリリースを続けている。このほど第3巻が発売された。今回はピアノ・ソナタ第7番、第8番「悲愴」、第9番を収録した。ベートーヴェンのピアノ・ソナタは多くのピアニストが手がけている。
 「巨匠が取り組んできたレパートリーです。ベートーヴェンの音楽はずっと大切にしてきました。どうせ全集をやるのならベートーヴェンを、と思いました。自分に求められるのは、しっかり自分の解釈をすること。開き直りもありますが、今自分にできる音楽を演奏すればと思いました。ベートーヴェンは、演奏していると共鳴して心が熱くなります。弾いているときは自分のありのままでいられるのです。ベートーヴェンが書いたことを再現するのは、私にとって自然なことなのです。弾き続けていると、これまで見えていなかったベートーヴェンの意図がよく見えてくるのです」

ベートーヴェン・ピアノソナタ全集第3巻

 第1集は、1794年に作曲された第1番から第3番、と番号順に録音している。
 「初期の作品だからといって価値が低いわけでなく、曲として完成しています。ベートーヴェンはすべての曲に可能性を詰め込みました。今回録音した第7番は早い動きが複雑で、第8番『悲愴』は書いてある通りに演奏すれば方法論が見えてきます」
 ピアノ・ソナタ第1集から、ずっとヤマハのCFXを使って録音している。
 「以前からヤマハの楽器は好んで使っていました。CFXは何でもできるスーパーな楽器です。よりパワフルな音から繊細な音、弱音の美しさまで意図が伝わりやすい。タッチの深さでいろいろな種類の音が出せます。ポテンシャルのあるピアノだと思います」
 小学生になったときからピアノを始めた。兵庫県の高校を卒業し、直接、パリ国立高等音楽院に留学、ジャック・ルヴィエに師事した。卒業後、帰国して現在は東京芸大大学院博士課程に在学中、迫昭嘉に師事している。今は神戸に住み、博多のヤマハのマスタークラスで教えてもいる。
 「レールをそのまま進んできましたが、音楽はすばらしい、ずっとやっていきたいと思ったのはパリ時代でした。ピアノの素晴らしいところは、1台の楽器でオーケストラのようなことが出来るところです。リストやロマン派のブラームス、シューベルト、シューマンも録音したいと思っています」

Akihiro Sakiya

1988 年生まれ、神戸市出身。6歳よりピアノを始め、ヤマハマスタークラス演奏研究コース、兵庫県立西宮高等学校音楽科卒。第29回ピティナ・ピアノコンペティション特級銀賞、第16回A.M.A.カラブリア国際ピアノコンクール第2位(1位なし)。国立パリ高等音楽院ピアノ科に留学、首席修了。第3回リヨン国際ピアノコンクール第1位。帰国し東京芸大大学院に進学、在学中。第59回ブゾーニ国際ピアノコンクール第3位入賞(1位なし)、第56回ハエン賞国際ピアノコンクール第1位。渡辺純子、鳥居知行、C.ソアレス、荒木美佳、J.ルヴィエ、現在、迫昭嘉に師事。

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■CD
ベートーヴェン・ピアノソナタ全集第3巻(写真)
第7番・第8番「悲愴」・第9番
(DPIC)DRIC-4003
ベートーヴェン・ピアノソナタ全集第2巻
第3番・第4番・第5番
(DPIC)DRIC-4002
ベートーヴェン・ピアノソナタ全集第1巻
第1番・第2番・第3番
(DPIC)DRIC-4001

■コンサート
崎谷明弘ピアノ・リサイタル
7月8日(土) 18:00 佐川文庫(茨城・水戸)
■問い合わせ:電話029-309-5020