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vol.35 ピアノデュオ 中井恒仁&武田美和子

ピアノデュオ 中井恒仁&武田美和子
Toshiaki Yamada

11月に「ピアノの芸術」シリーズをスタート
作曲者自身に編曲による「新世界より」などを
「2人のピアノで大作の本質を表現したい」

 日本を代表するピアノデュオ。1999年から活動を続けており、今秋から新たなシリーズを立ち上げた。
 「ピアノの可能性を探るために新しいシリーズを始めました。プログラムは2台ピアノ、連弾、ソロも含めてそれぞれの回でコンセプトを考えます。今回は、ドヴォルザークの『新世界より』を演奏しますが、2人のピアノで大作の本質を表現したい」と武田は話す。
 かつてCDなど録音がない時代、作曲者自身、また別な作曲家が交響曲やオペラをピアノに編曲した。ホールでオーケストラを気軽に聴くわけに行かないから、聴衆への音楽の普及を図る手段でもあった。
 「以前、リストが編曲した『第九』を演奏しました。お客さまはたくさんの『第九』を聴いているので、ピアノの演奏を充実したものとして感じていただくことが出来るのか、作曲家のメッセージをピアノで表現できるのか、演奏には勇気が必要でした」と武田は交響曲の編曲の演奏の難しさを語った。
 今回演奏する「新世界より」は原曲に忠実に編曲されており、演奏は40分かかる大作。
「40分を超える作品をピアノで表現するには特別な集中力を要します。シンフォニーでは、ピアノ作品とはまた違う作曲者の、思いや世界を知ることになると思います」と中井。

ピアノデュオ 中井恒仁&武田美和子

 ほかに、ルトスワフスキとショスタコーヴィチの2台ピアノのためのオリジナル作品。
「ルトスワフスキはパガニーニの『カプリース』の主題だけでなく原曲の変奏の素材までも使いつつ、時代が進んだ和声やリズムの遊びがとても斬新です。ショスタコーヴィチの作品はあまり演奏機会がないと思います。15、16歳のころに作っており、チャイコフスキーに近いロシアのロマン派のような作品です。お父さんを亡くした直後で、きれいなメロディーの中に、祈りや宗教が感じられます」と武田は話す。
 デュオを始めた16年前に比べ、今はインターネットで楽譜探しも容易になったという。連弾や2台ピアノは、ソロとは違う指使いやペダル、腕の角度など困難な技術を必要とし、もちろん2人の呼吸が合わなければいけない。中井が低音域を、武田が高音域を受け持つ。
 「それぞれのソロの演奏の響きは違いますが、大きな音楽の感じ方の方向性が近い」と中井はデュオが続いた理由を。そして武田は「新しいシリーズでデュオピアノの芸術を作り上げられたらいい」と話した。

Miwako Takeda & Nobuhito Nakai

日本で唯一、世界でも大変稀な、それぞれのソロとデュオ共に「国際音楽コンクール世界連盟」加盟のコンクールで入賞しているピアノデュオ。共に 東京芸大、ミュンヘン音大大学院修了。各ソロの CDの他に「ファンタジー」など4枚のデュオのCDをリリース。中井は、日本音楽コンクール、ブラームス国際音楽コンクール等で 入賞。桐朋学園大学准教授、名古屋音楽大学客員教授。武 田は、マリア・カナルス国際音楽コンクール、ヴィオッティ国際音楽コンクール等で入賞。上野学園大学講師。久留島武彦文化賞受賞。

ここで聴く

中井恒仁&武田美和子
ピアノデュオリサイタル“ピアノの芸術”vol.1


11月19日(木)19:00 東京文化会館小ホール
ショスタコーヴィチ:2台ピアノのための組曲
ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲(2台ピアノ)
ドヴォルザーク:交響曲第9番作品95「新世界より」(作曲者自身による連弾版)
全席自由 5000円
■問い合わせ:プロ アルテ ムジケ 電話 03-3943-6677