デビュー25周年記念「原点回帰」のリサイタル
「ワルトシュタイン」やメンデルスゾーンなどを
「日常の世界を離れ、元気の糧になってくれれば」
「その前から演奏していましたが、デビュー・リサイタルは1996年5月です。桐朋女子高音楽科を卒業して、すぐドイツに行き、ミュンヘン国立音大で学びました。演奏活動をしながらドイツと日本を行ったり来たりしていて、デビュー・リサイタルの機会がなかなかなかったのです。10年近くドイツにいましたが、ドイツで勉強したことを日本で披露したかったのです」
3月25日にデビュー25周年記念リサイタルを開く仲道祐子はこう話す。ミュンヘンでは、2年前に亡くなったクラウス・シルデに師事した。
「音楽に対する姿勢、楽譜の読み方を学びました。作曲家を尊重することを厳しく言われました。作曲者の意図通りに演奏する場所と演奏家の自由にまかされているところの双方があることを教わりました」
記念リサイタルに「原点回帰」とタイトルを付けた。
「中学3年生のとき、全日本学生音楽コンクールで優勝して音楽を専門に勉強しようと考えました。念入りに練習し、曲を弾きこんでくると自由になれるのです。この体験を重ねていきたい、と桐朋女子高に入りました。ピアニストにドイツ音楽は外せない、とドイツに留学したのです」と原点を語る。名字で分かるように、姉は同じピアニストの仲道郁代。
「姉がいたから音楽の道に進みました。ピアノをやるものと刷り込まれていました。年が離れているのでライバルではありませんでした。個性が違います」
リサイタルは、メンデルスゾーン、リストと続き、後半の最初に田中カレンの「こどものためのピアノ小品集 『愛は風にのって』~ 三善晃先生の思い出に ~」よりがプログラムされている。作曲家、三善晃は仲道が桐朋女子高に通っていたころ、桐朋学園の学長だった。
「田中さんは姉と同学年です。この作品はCDとして出すことがかないました。三善先生への敬愛の情があふれています。透明で優しいまなざしを持った三善先生へのノスタルジーを感じるのです。知的で素敵な先生でした。30年前の桐朋学園の空気感があります。弾いていて感じるのです。あの時代はああだったとか、タイムカプセルのごとく思い出されます」
これも仲道の原点。
「私のリサイタルが一瞬、日常の世界を離れて、非日常の時間を体験して元気の糧になってくれれば」と話した。
桐朋女子高等学校音楽科卒業後渡独、クラウス・シルデに師事。ミュンヘン国立音楽大学、同大学院ピアノ科及び室内楽科を卒業。1996年より日本各地でのリサイタル、オーケストラとの共演、室内楽の分野でも活躍。音楽教育の普及に深い関心を示し、ピアノの歴史300年をたどるコンサート、朗読とのコラボレーションなど多彩な活動に力を注ぐ。田中カレン作曲のこどものためのピアノ小品集CD「愛は風にのって」はレコード芸術特選盤。大阪芸術大学演奏学科教授。広島日野自動車株式会社主催「ひのっ子ピアノコンクール」審査委員長。
3月25日(金) 19:00 Hakuju Hall
メンデルスゾーン: ロンド・カプリッチョーソ
メンデルスゾーン: 厳格な変奏曲
リスト: 3つの演奏会用練習曲 「ため息」
リスト: バラード 第2番
田中カレン: こどものためのピアノ小品集 「愛は風にのって」
~ 三善晃先生の思い出に ~ より
<ラム酒の樽><淋しい料理人><黒のタートルネック>
<笛吹きと縄文土器><クリスマスの思い出><愛は風にのって>
シューマン=リスト:「献呈」
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」
■問い合わせ:ジャパン・アーツぴあ TEL:0570-00-1212
田中カレン:「愛は風にのって」 ―三善晃先生の思い出に―
(オクタヴィア)OVCT-00175