5,6月に第8回仙台国際音楽コンクール開催
ピアノ部門には史上最高の438人が応募
「クリエイティヴな資質を持った人を探したい」
3年ごとに行われる仙台国際音楽コンクールの第8回が5月から6月にかけて仙台市で行われる。昨年ワルシャワで開催されたショパン国際ピアノ・コンクールの優勝者ブルース・リウは2016年の仙台国際音楽コンクールの入賞者。世界的な才能を輩出するコンクールとして評価は高まり、今回はピアノ部門が438人、ヴァイオリン部門と合わせると573人と史上最高の申込者が集まった。
第8回コンクールのピアノ部門審査委員長に就任した野平一郎は「キャンセルが少しありましたが、前回より100人以上申込者が多くなりました。昨年、浜松国際ピアノ・コンクールが中止になり、ぜひ仙台で頑張りたいという人が多かったのでは。1月にビデオで予備審査を行いました。審査委員の先生方からどうやって選ぶの、ピアノ・フェスティバルを聴いているよう、と声が出るほどレベルの高い申込者でした。400人以上の演奏を決められた期間内で聴かなくちゃならないので大変でした」と予備審査の苦労をうれしい悲鳴とともに語る。
予備審査はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンのピアノ・ソナタから1曲とショパン、リスト、ドビュッシー、ラフマニノフの練習曲から1曲、さらに任意の独奏曲を収録したDVDやデータを提出しなければいけない。
「15カ国の人たちが予備審査を通りました。表現意欲の活発さを感じました。世界的にコロナで大変ですが、みなコロナにめげていません。一人一人が個性化しており、これが審査を難しくしています」
課題曲のメインに協奏曲を置いていることが特徴の一つ。セミファイナルでは協奏曲を1曲、ファイナルでは2曲演奏する。ファイナルでは古典派のモーツァルトやベートーヴェンから1曲と、ベートーヴェン「皇帝」からショパン、ブラームスなどロマン派、プロコフィエフや日本の矢代秋雄などから1曲。管弦楽は高関健指揮仙台フィル。
「第7回コンクールを見て分かったのですが、リハーサル、セミファイナル、ファイナルと続けていくとコンテスタントはオーケストラと親密になっていくのが分かります。オーケストラとどう弾いたらよいのか進歩していくのです。これが若い音楽家の音楽的な形成の一歩だと感じました」
6月にはどんな新しい才能を発見できるだろうか。
「イマジネーション、ポテンシャルを持った人、クリエイティヴな資質を持った人を探していきたい。審査委員を驚かす人が出てきてほしい」と話した。
1953年生まれ。東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了後、パリ国立高等音楽院に学ぶ。100曲に及ぶ作品には、フランス文化庁、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、国立劇場からの委嘱作品があり、近作では「祝典序曲」、「触知できない領域~チェロとピアノのための~」(チェロ:堤剛)などがある。第35回サントリー音楽賞、第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第44回、第61回尾高賞、第75回日本芸術院賞などを受賞。2012年、紫綬褒章。現在、静岡音楽館AOI芸術監督、東京藝術大学名誉教授、東京音楽大学教授。
ヴァイオリン部門 5月21日(土)~6月5日(日)
ピアノ部門 6月11日(土)~26日(日)
日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)
審査委員長:堀米ゆず子(ヴァイオリン部門)野平一郎(ピアノ部門)
ピアノ部門予選:6月11日(土)~13日(月)独奏 概ね36名
セミファイナル:6月17日(金)~19日(日)協奏曲1曲 12名
ファイナル :6月23日(木)~25日(土)協奏曲2曲 6名
3月13日(日)14:00 日立システムズホール仙台交流ホール
野平一郎
バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻第8番 前奏曲とフーガ、他