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vol.115 宮本益光 バリトン

宮本益光 バリトン

モーツァルト・シンガーズ・ジャパンで活動
モーツァルトの全オペラ作品の録音が目標
第3弾プロジェクト「ドン・ジョヴァンニ」公演

 日本を代表する歌手たちが「MOZART SINGERS JAPAN(モーツァルト・シンガーズ・ジャパン)」を2018年に結成し、活動を続けている。モーツァルトの全オペラ作品をピアノ伴奏で録音することが目標。これまでに「コジ・ファン・トゥッテ」、「ドン・ジョヴァンニ」、「バスティアンとバスティエンヌ」、昨年の「フィガロの結婚」と4作品のCDをオクタヴィアからリリースした。
 歌手はバリトンの宮本益光、テノールの望月哲也、ソプラノの鵜木絵里、針生美智子。それにコレペティートル。
 宮本は「3人は二期会オペラ研修所の指導チームで一緒です。日本の歌手が、ヨーロッパの劇場付きの歌手のようにレパートリーを持ち続けることの重要性を仲間と相談しました。みな、モーツァルトがレパートリーです。研修所の生徒はモーツァルトをやることが決まっています。二期会には優秀なコレペティートルがいます。みな、ヨーイドンで明日からでもモーツァルトを歌える歌手です。しかし、ゼロから譜読みして、言語指導を受けて録音に臨みました。ハーモニーを見過ごしていたなど、今まで何をやっていたのだろう、と思いました。これまでと聴こえてくる音が違うのです。それにこうした準備が指導の現場でも生きます」と話す。

 モーツァルト・シンガーズ・ジャパンは録音プロジェクトとして始まり、第1弾として「コジ・ファン・トゥッテ」をリリースした。そして年に1回、王子ホールで発表を行う。2月には2枚目の「ドン・ジョヴァンニ」と同じメンバーでハイライト上演を行う。宮本の二期会デビューが「ドン・ジャヴァンニ」だった。これまでに何十回と歌っている。
 「いかに歌の良さを浮き彫りにするか、と活動を続けています。繰り返すことで発見があるのです。音楽家が音楽家であり続けるためには、準備して譜読みしてステージにかける、これを繰り返すことです。見直すことは前に歌ったことについての否定が伴います。これはしんどいけれど前向きな否定なのです」
3月には宮本、望月、鵜木、針生らが出演してセントラル愛知交響楽団で「コジ・ファン・トゥッテ」を公演する。活動が知られるようになり、ほかのホールからも公演の相談が来ている。今年は「魔笛」の録音も計画している。
 「私たちは心の収入のための活動をしています。今後は若い人とも取り組んでいきたい。夢はザルツブルク音楽祭です」

Masumitsu Miyamoto

愛媛県八幡浜市出身。東京藝術大学博士課程修了。学術(音楽)博士。奏楽堂日本歌曲コンクール奨励賞受賞。第69回日本音楽コンクール入選。国際モーツァルトコンクール派遣者選考会優秀賞受賞。「欲望という名の電車」(日本初演)スタンリー役で脚光を浴び、びわ湖ホール「ラ・ボエーム」、二期会「金閣寺」、新国立劇場「鹿鳴館」などで主演。MOZART SINGERS JAPAN を主宰し、CD「ドン・ジョヴァンニ」などを発表。著書に「職業 宮本益光」、作詞作品に「あしたのうた」など。桐朋学園大准教授、聖徳大客員准教授、東京藝術大講師。

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CD

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(写真)

ドン・ジョヴァンニ:宮本益光(構成・演出)
騎士長:伊藤純 ドンナ・アンナ:針生美智子
ドン・オッターヴィオ:望月哲也
ドンナ・エルヴィーラ:文屋小百合
レポレッロ:原田圭 マゼット:近藤圭
ツェルリーナ:三井清夏 石野真穂(ピアノ)
(オクタヴィア)OVCL-00705

コンサート

モーツァルト・シンガーズ・ジャパン Vol.3
《ドン・ジョヴァンニ》ハイライト(字幕付き)

2月18日(金)19:00 王子ホール

ドン・ジョヴァンニ:宮本益光など歌手はCDと同じ