ウズベキスタン出身の俊英がデビュー・リサイタル
ベートーヴェンやショパンなど多彩なプログラム
「今の自分のすべてを聴いていただきたい」
ウズベキスタン出身の俊英、ベフゾド・アブドゥライモフが6月、彩の国さいたま芸術劇場で日本でのリサイタル・デビューをする。1990年生まれの若手注目株。リサイタルに向け、今から興奮しているという。また、NHK交響楽団とはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番で共演する。
―日本でのリサイタル・デビューですね。ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、サン=サーンス、ラヴェルと多彩なプログラムです。
日本でのリサイタル・デビューというエキサイティングな出来事に今からとても興奮しています。プログラムは、この重要な舞台で皆様に今の自分のすべてを聴いていただきたくて組みました。でもちょっと盛りだくさん過ぎたかもしれませんね・・・ ・・・。
―2012年に発売したデビュー盤はプロコフィエフやリストでした。ヴィルトゥオーゾ的な作品がお好きなのですか?
もちろんです。が、ただ技巧的ということだけでなく、その数多い音符の使い方、そして技巧的パッセージの中に描かれている音楽、ふたりの作曲家のその違いをとても興味深く思っています。
―生まれ育ったタシケントはどのような町でしょうか。日本人にはあまりなじみがないので教えてください。
そうですね。日本の皆さんにとっては遠い国のイメージであること想像できます。ただ歴史的な関わりからウズベキスタンでは親日感情が非常に高いのです。悲しいことではありますが、シベリアに抑留された日本の方々がタシケントにも派遣され、多くの建築、道路などを作ってくださいました。中でもナヴォイ劇場とよばれるオペラ座は素晴らしい建築です。私たちは日本の皆さんへの敬意をずっと忘れないでしょう。
―なぜピアニストになろうと思ったのでしょうか。
5歳のときに母親からピアノの基礎的なことを習い始めました。それからすぐに本格的な指導を受けるために先生につきました。とても厳格な先生でとても怖かったこと、覚えています。先生は6歳だからといって子供扱いすることはしませんでした。だからでしょうか、8歳か9歳のときにはピアノ、音楽は自分にとってかけがえのないものになっていました。
―NHK交響楽団とも共演します。
リサイタル・デビューももちろんですが、世界的にも最高のオーケストラのひとつとして知られるNHK交響楽団と共演できることもとても光栄に思っています。それも偉大なピアニスト、指揮者であるアシュケナージさんと、なんという素晴らしいことでしょう。
日本の皆様の前で再び演奏できることとても楽しみにしています。
1990年、ウズベキスタン・タシケント生まれ。5歳でピアノを始め、タシケントのウスペンスキー音楽院にてタマーラ・ポポヴィチに師事。2009年、18歳でプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」を演奏して、ロンドン国際ピアノ・コンクールで優勝。デッカ・クラシックスから12年にリリースしたデビュー・リサイタルCDは、「クラシカ」誌のChoc(ショック)賞などを獲得。現在、米カンザス・シティのパーク大学国際音楽センターにてスタニスラフ・ユデニチのもとで研鑽を積んでいる。
●リサイタル
彩の国さいたま芸術劇場開館20周年記念
ピアノ・エトワール・シリーズ
ベフゾド・アブドゥライモフ ピアノ・リサイタル
6月8日(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番、ショパン:幻想曲
サン=サーンス:死の舞踏、ラヴェル:夜のガスパール、他
■ 問い合わせ:電話:0570-064-939
NHK交響楽団定期公演
6月13日(金)14日(土) NHKホール
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)
■ 問い合わせ:電話:03-3465-1780