©青柳聡
東京シティ・フィル首席客演指揮者就任披露
ウォルトン、ピアソラなど「攻めの選曲」
「さらに挑戦的でフレッシュなイメージを」
今年4月、東京シティ・フィルの首席客演指揮者に就任した。7月26日に就任披露演奏会が東京オペラシティで行われる。プログラムには、昨年2月の就任発表記者会見で話していた通り、ウォルトンの交響曲第1番が入った。
「メインのウォルトンの交響曲第1番は、僕の好きな英国音楽です。イギリスでも何度も指揮した曲です。ジョン・ウィリアムズをはじめ多くの映画音楽の作曲家たちが、いかにウォルトンに影響を受けているかがわかると思います。曲中、『スター・ウォーズ』にそっくり部分が出てきます。普段、クラシックを聴かない方も楽しんでもらえるプログラムです」
ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」も聴きものだ。ソリストは、藤岡と昨年共演し、意気投合したという神尾真由子。ピアソラは神尾の希望。
「神尾さんが、ぜひピアソラをやらせてほしい、と。実は僕はピアソラをやるのは初めてです。ヴィヴァルディの『四季』へのオマージュで、曲中、『四季』のメロディーが出てきます。小編成ですが、とにかくカッコいい。これぞピアソラ! というような最高な曲です。神尾さんのヴァイオリンは圧倒的な品格の高さとパッションがあるので、熱いピアソラを楽しんでいただけると思います」
©Shin Yamagishi
そして、得意とするシベリウスの日本ではあまり演奏されない「大洋の女神」。
「大好きな作曲家で、ずいぶんこれまでも取り上げてきたシベリウスを1曲入れたいなと思いました。『大洋の女神』はスケールの大きい雄大な作品なので、ぜひ楽しんでいただきたいです」
今年は11月9日の定期演奏会にも登場する。これも伊福部昭の舞踊曲「サロメ」やヴォーン・ウィリアムズなど〝藤岡らしい〟プログラム。
「東京シティ・フィルとは、〝斬新なプログラミング〟をひとつのテーマにしてやっていきたいのです。高関健さん、そして飯守泰次郎先生という大変尊敬している2人のマエストロがやらないような部分をやるのが、自分の役目だと思っています。とにかく攻めの姿勢で、僕ならではの挑戦的なプログラミングでやっていきたいと考えています。とくに邦人作品は積極的に取り上げたい。邦人作品でもこんなに楽しく、聴いてわかりやすい音楽があるというのを、お客さんに分かってもらえるようにアピールしていきたいと思っています。あと東京シティ・フィルがもともと持っているイメージ、チャレンジングでフレッシュさというものを、今回僕が加わったことで、さらに持ってもらえたらうれしいです」
1962年東京生まれ。渡邉暁雄の最後の愛弟子。ゲオルク・ショルティのアシスタントを務める。日本フィル指揮研究員を経て1990年に英国王立ノーザン音楽大学指揮科に入学。94年、BBCフィル副指揮者に就任。同年、「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー。2017年、アイルランド国立交響楽団にマーラーの第5交響曲で客演。マンチェスター室内管弦楽団首席指揮者、日本フィル指揮者を歴任し、関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者。02年渡邉暁雄音楽基金音楽賞受賞。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第326回定期演奏会
藤岡幸夫 首席客演指揮者就任披露公演
7月26日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
神尾真由子(ヴァイオリン)
シベリウス:交響詩「大洋の女神」
ピアソラ(デシャトニコフ編曲):ブエノスアイレスの四季
ウォルトン:交響曲第1番
18時40分より藤岡幸夫のプレトーク
S席6000円 A席5000円
B席4000円 C席3000円
■問い合わせ:東京シティ・フィル チケットサービス
電話03-5624-4002(平日10:00~18:00)