ブレゲンツ音楽祭で珍しい「アムレット」に出演
クラシカ・ジャパンで9月25日に初回放送
「公演が日本で放送されることになり感激です」
オーストリアのブレゲンツ音楽祭で上演された、イタリアの作曲家フランコ・ファッチョのオペラ「アムレット(ハムレット、イタリア語の発音ではアムレート)」に出演、墓堀人と旅役者ルチアーノを歌った。この作品は1865年にジェノヴァで初演、71年にミラノ・スカラ座で改訂初演されたが、長い間忘れられていた。しかし、2014年、アメリカのオペラ・サウスウェストが143年ぶりに全幕上演した。
「ファッチョは『アイーダ』のイタリア初演をするなど指揮者として有名です。音楽祭総監督のエリザベート・ソボトゥカは大学の卒業論文でファッチョを取り上げ、この作品の上演を長年夢見てきました。私が歌ったルチアーノは、ハムレットが雇った旅役者の劇中劇『ゴンザーゴ殺し』でゴンザーゴ王を毒殺する役です。ファッチョは全てに役に対して広範囲な音域をカバーできる歌手を求めました。初演の失敗は作曲家の高い要求に応えられる歌手がそろわなかったことが原因とされています」
台本は、ヴェルディの「オテロ」や「ファルスタッフ」の台本を書いたアッリーゴ・ボーイト。
「ファッチョとボーイトは、オペラの革命を起こそうと『アムレット』に取り組みました。新しいイタリア・オペラを見せたかったのです。ワーグナーのようにモノローグでオペラが進み、ライトモチーフ的なことを使っています。インテンポで、抑制された中にクライマックスを持っていきます」
©Bregenzer Festspiele / Karl Forster
公演は7月20日が初演、25日と28日にも公演され、もっともよい状態の20日の舞台がクラシカ・ジャパンで放送される。
ウィーン国立音大に留学するため2000年にウィーンに来た。08年からフォルクスオーパーの専属歌手を務めている。今回のブレゲンツ音楽祭ではプッチーニ「トゥーランドット」のマンダリンも歌っている。
「グラーツの『魔弾の射手』の隠者でデビューしたのですが、その演出が『トゥーランドット』のマルコ・アルトゥーロ・マレッリさんで、私を推薦してくれました。湖上のステージは『トゥーランドット』のような大がかりなオペラをし、祝祭劇場では日頃上演されることが少ない作品を発掘しています」
「アムレット」は初日の評判もよく、3日間とも売り切れ。放送で流れるのが世界唯一の映像だ。
「アムレット役のチェコ人、パヴェル・チェルノフら有能な若手歌手がそろいました。衣装は歴史的な中に斬新なモチーフを配した素晴らしいものでした。この公演が日本で放送されることになり感激です」と話した。
日本大学芸術学部、ウィーン国立音楽大学修士課程を首席で終了。末芳枝、R.ハンスマン、R.ホルに師事。2008年よりウィーン・フォルクスオーパーの専属歌手。12年の新演出版「フィガロの結婚」タイトルロールをはじめ、8シーズンで約300公演に出演。ザルツブルク音楽祭やウィーン楽友協会、ベルリン・フィルハーモニーなどに客演し、アーノンクールなど著名な指揮者の下、ソリストを務める。日本では新国立劇場において「ドン?ジョヴァンニ」のレポレッロ、「アイーダ」のエジプト王などで客演。
テレビ放送 クラシカ・ジャパン
ヨーロッパ直送宣言! 夏の音楽祭2016
ブレゲンツ音楽祭2016 全て日本初放送
フランコ・ファッチョ:「アムレット」
初回放送:9月25日(日) 21:00
パヴェル・チェルノフ(アムレット)、ユリア・マリア・ダン(オフェーリア)、平野和(ルチアーノ&第1の墓掘り人)
演出:オリヴィエ・タンボージ
指揮:パオロ・カリニャーニ、ウィーン交響楽団
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初回放送:9月3日(土) 21:00
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