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おすすめアーティスト

vol.113 森谷真理 ソプラノ

ラファウ・ブレハッチ

新日本フィルの「第九」特別演奏会に出演
指揮のシモーネ・ヤングとの共演が楽しみ
「第九は人に歩み出す勇気を与えてくれる」

 新型コロナウイルスによる感染症も落ち着き、コンサートに人が戻ってきた。日本の師走恒例のベートーヴェン「第九」演奏会も例年通り行うオーケストラが多い。中でも注目のコンサートの一つが新日本フィルの「第九」特別演奏会。第4楽章「歓喜の歌」を高らかに歌う独唱陣の一人がこの人。森谷は今、とても人気のあるソプラノだ。
 「第九でソロはたくさん歌いませんが、非常に難度が高いのです。ベートーヴェンは器楽的な声の使い方と感じますが、高揚感があり、歌がオーケストラとジョイントしています。ソリストは3楽章から入ることが多いので座って聴いていますが、音楽が泣いてしまうほど神々しくて素晴らしい。聴き惚れてしまいます。4楽章のシラーの詩が素晴らしい。『この星空の上に父なる神が住んでいるに違いない』という詩に感動します」

ソプラノ 佐藤美枝子
シモーネ・ヤング ©Monika Rittershaus

 今回の指揮者はオーストラリア・シドニー出身のシモーネ・ヤング。オーストラリア・オペラ首席指揮者、ハンブルク州立歌劇場総支配人などを務め、2005年、ウィーン・フィルを女性指揮者として初めて指揮した。オーケストラやオペラの指揮でたびたび来日している。
 「シモーネ・ヤングに会うことが楽しみです。女性指揮者だからやりやすい、やりにくいということはありません。振る人によってフレージングやテンポが変わり個性がでます。練習では彼女の素晴らしいところが見えると思います。彼女の音楽性で、第九がどのように仕上がるのかが楽しみです」
大学時代は第九に合唱で参加した。第1楽章から立ちっぱなしで、周りの合唱団員が次々と貧血で倒れてしまったことがある、と笑いながら話す。
 「合唱はいい思い出です。アメリカやヨーロッパでは第九はめったに公演しません。私も海外で歌ったのは1回だけでした。いつでも歌えるのは日本だけです」
 この6月、アメリカから帰国して以来6年間所属していた二期会を退会し、フリーとなった。
 「新たな可能性に向けて一歩踏み出したいと思い、二期会をやめました。第九は、人に歩みだす気持ちを与えてくれる曲です。来年に向けてぜひ前向きな気持ちを一緒に体感しましょう。勇気と希望を持てるような演奏会になると信じています」

Mari Moriya

栃木県小山市出身。武蔵野音楽大学声楽科卒業、同大学院声楽専攻首席卒業後、渡米しマネス音楽院プロフェッショナルスタディーズコース修了。第5回ヴェロニカ・ダン国際声楽コンクール1位、第2回チャールズ・A・リーナム声楽コンクール1位。パームビーチ・オペラにて「魔笛」夜の女王役でデビュー後、欧米の主要歌劇場で活躍。2006年には、レヴァイン指揮の同役に抜擢され、メトロポリタン歌劇場デビューを飾る。19年には「天皇陛下御即位を祝う国民祭典」にて国歌独唱。とちぎみらい大使。20年下總睆一音楽賞。

ここで聴く

新日本フィル「第九」特別演奏会2021

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

12月17日(金) 19:00 サントリーホール
12月18日(土) 14:00 すみだトリフォニーホール
12月19日(日) 14:00 Bunkamuraオーチャードホール
12月20日(月) 19:00 東京オペラシティ

指揮:シモーネ・ヤング
ソプラノ:森谷真理、アルト:中島郁子
テノール:福井敬、バリトン:萩原潤
二期会合唱団
■問い合わせ:新日本フィル・チケットボックス (TEL)03-5610-3815