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vol.25 チェロ 荒庸子

チェロ 荒庸子1

「ムーン・リバー」など想い出の映画をチェロの響きで
3月14日にザ・シンフォニーホールでリサイタル
「お客さまに温かい気持ちになって帰ってほしい」

 4歳からピアノを習い、7歳でチェロを始めた。

「家ではよくクラシックのレコードがかかっていました。両親がNHK交響楽団のコンサートに連れていってくれました。なぜかそれでチェロをやりたい、と言ったのです。落ち着きのない子供だったので、大きなチェロを構えて演奏していれば立ち上がることもなく性格も落ち着くだろう、と両親は考えたそうです。2分の1サイズのチェロを買ってもらい習い出しましたが、性格は直りませんでした(笑い)」

 桐朋学園大学、アメリカ・イリノイ州立大学を経て、ニュージャージー州のラトガース大学に留学した。カザルスの弟子で、ボザール・トリオなどで活躍したバーナード・グリーンハウスにどうしても師事したかったという。そして、現在も使っている1725年製のイタリアの名器ジョヴァンニ・グランチーノに出会った。

チェロ 荒庸子2

「先生に、いろいろな楽器を弾かせてもらいなさい、と言われました。シカゴの楽器商で2丁見せてもらい、弾かせてもらいました。まったく違う性質の楽器でした。グランチーノはビロードの上を歩いているようなしっとりとした音でした。すぐに好きな音だと思いました。人間だったら一目れです。チェロはやはり自然体で座り、体で包み込むような状態で演奏できることが気持ちいいのです。チェロと一心同体の感じです。こちらの体の調子が悪いとチェロもよく鳴りません。私は楽器に『今日もありがとう』と声をかけるようにしているのです。チェロから目に見えないパワーをもらっています。一番人間の声に近い楽器といわれますが、まさにそうだなと思います」

 3月に大阪のザ・シンフォニーホールで「珠玉のシネマ名曲」と題したリサイタルを行う。「ムーン・リバー」、「ライムライト」、「ニュー・シネマ・パラダイス」など名画の音楽を中心にプログラムを組んだ。2003年には「想い出の映画館~太陽がいっぱい」というCDをリリースしている。

 「チラシを見たときに映画音楽ならば聴きにいこうと思っていただけるのでは、と親しみやすいプログラムにしました。映画が大好きなのです。『ムーン・リバー』のオードリー・ヘプバーンに魅了されました。ちょっとした仕草にも女性の品を感じます。彼女の歌っているシーンをいつかチェロで弾いてみたいと思っていました。曲を聴くと映画のシーンを思い出すとともに、若いときに誰と見た、など記憶をよみがえらせたり、思い出したりすることにつながると思います。お客さまにコンサートが終わって帰るときに温かい気持ちになって帰ってほしいのです」

Yoko Ara

東京都出身。青木十郎、岩崎洸、徳永兼一郎、B・グリーンハウス、H・シャピロに師事。桐朋学園女子高音楽科、同大学を経て、1990年、米ラトガース大学音楽科卒。ジュリアード音楽院修士課程修了。グラハム・シュタール・コンクール入賞。93年、蓼科高原音楽祭賞受賞。ソリストとしての活動の他に、「スーパー・チェロ・アンサンブル・トウキョウ」「青薔薇海賊団」のメンバーとしても活躍。サイトウ・キネン・フェスティバル、水戸室内管弦楽団などにも招かれている。洗足学園音大講師。
オフィシャルサイト http://www.yokoara.com

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荒庸子チェロ・リサイタル

想い出がいっぱい
珠玉のシネマ名曲Selection
3月14日(土)19:00
ザ・シンフォニーホール(大阪)
バッハ:アリオーソ マンシーニ:ムーン・リバー
チャップリン:ライムライト
モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイスより~愛のテーマ
ローゼンマン:エデンの東 
ピアソラ:リベルタンゴ、他
山田武彦(ピアノ)

■問い合わせ:ザ・シンフォニーホールチケットセンター
電話06-6453-2333