デビュー30周年で個人レーベルを立ち上げ
2月6日にサントリーホールで記念リサイタル
「人との出会いで活動が広がっていきました」
1985年、第9回イスラエル国際ハープ・コンクールに参加者中最年少で優勝。以来、今年で30年になる。自主レーベルを立ち上げ、記念リサイタルを行う。
「気が付いたら30年経っていました。普段、あまり意識していませんでした。2006年の20周年のリサイタルが、ついこの前のような気がします。基本的にしてきたことは同じですが、人との出会いで活動が広がっていきました。30周年だからレーベルを作ったわけではありません。年齢的にもいつまでも時間があるわけではありません。これから何をしていきたいか、と考えたときに、今演奏しているものを残していければいいな、と思いました」
レーベル名はイタリア語で優美な、優雅な、を意味するgrazioso。第1弾「ハープ・リサイタル~その多彩な響きと音楽」は今月下旬にリリースされる。これから毎年1枚録音していく予定。
「最初からレーベルを作ろうとしたのではありません。わがままかもしれないけれど。できれば今録音したい作品、やりたい曲をと思いました。それならレーベルを作ってしまったら、と話が持ち上がりました」
昨年4月に軽井沢で録音したのは12曲。このうちドビュッシーの「月の光」やリストの「愛の夢」など5曲は以前、フィリップスとソニーで録音している。
「17歳でのコンクール以来、演奏を続けて、レパートリーになっている曲ばかりです。30年やってきたものの中から、改めて残したい曲を選んで録音しました。オリジナル、小品、大曲の区別なく入れました」
昨秋にはフランスのアパルテ・レーベルから「アランフェス協奏曲」など協奏曲集のCDも発売されている。共演したロベルト・フォレス・ヴェセス指揮オーヴェルニュ室内管とは2013年、新潟のラ・フォル・ジュルネ音楽祭で出会った。一昨年の夏は、オーヴェルニュを訪れ、2週間のツアーを行った。3月にも定期演奏会に出演する。
「人間同士の相性と一緒で、音楽に対する思いがお互いに触発しあって、作りたい方向が同じでした。作ろう作ろうと思ってできたのではなく、いい出会いがあって自然に生まれたCDです」
デビュー30周年とCD発売記念のリサイタルは、2月6日にサントリーホールで行う。
「弾いているのはハープですが、ハープだけにとらわれるのではなく、ハープを通していろいろなものを表現したいと思っています」
ロンドン生まれ。6歳よりロサンゼルスでスーザン・マクドナルドにハープを習い始める。
1981年、第1回ローマ国際ハープ・コンクール第2位。85年、第9回イスラエル国際ハープ・コンクールに参加者中、最年少で優勝。ベルリン・フィル、イスラエル・フィル、フィルハーモニア管などと共演。ザルツブルク、ルツェルンなどの音楽祭に出演。室内楽ではクレーメル、ニコレ、ランパル、パユらと共演。88年芸術祭賞。91年文化庁芸術選奨文部大臣新人賞。国際基督教大学卒。
デビュー30周年記念/CD発売記念
吉野直子ハープリサイタル
2月6日(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ
モーツァルト(ルニエ編):ピアノ・ソナタ第15番
フォーレ:塔の中の王妃、ブラームス:間奏曲、他
■問い合わせ:AMATI 電話03-3560-3010
■CD
graziosoレーベル第1弾
吉野直子/ハープ・リサイタル
~その多彩な響きと音楽(写真)
ドビュッシー:月の光/亜麻色の髪の乙女
リスト(ルニエ編):愛の夢、他
GNY-701(1月下旬発売)
ハープ協奏曲集~アランフェス協奏曲
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲、他
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指揮)
オーヴェルニュ室内管
(キングインターナショナル)AP-113