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vol.57 ヴァイオリン 三上亮

ヴァイオリン 三上亮

ローム ミュージック フェスティバル2017で
コンサートマスターとしてアンサンブルを束ねる
「私はみんなのエンジンをかけるだけです」

 ローム ミュージック フェスティバル2017の弦楽合奏でコンサートマスターを務める。昨年始まったこの音楽祭は、ローム ミュージック ファンデーションが行っている若い音楽家育成のさまざまな事業に関わった音楽家を「ローム ミュージック フレンズ」と称し、彼らが共演し、ここでしか聴けないコンサートを行っている。
 三上は2000年に小澤征爾音楽塾の塾生として参加、04年と05年は奨学金を受けている。
 「ローム ミュージック ファンデーションの奨学金をいただき、アメリカからスイスに留学しました。ローザンヌ音楽院とメニューイン・アカデミーに合計3年いました。奨学金は本当に助かりました」と話す。
 はじめはローザンヌ音楽院だけのつもりだったが、メニューイン・アカデミーの試験を受けて、ダブル・スクールで通った。メニューイン・アカデミーの先生は、ブエノスアイレス生まれのアルベルト・リジー。南米の演奏家として初めてエリザベート国際コンクールで優勝した。
 「留学していろいろな国の、さまざまな文化を背景に持った友達と知り合うことができました。スイスではアカデミーでのレッスンのほか、カメラータ・リジーでコンサートマスターをしました。演奏会も多く、3日前にソロの曲を用意しろ、と言われるなど実践的でした。とても収穫が大きかった。演奏活動の大変さを知ることが出来ました。こうした経験があったので、札幌交響楽団のコンサートマスターに就任したときも苦労はあまり感じませんでした」

ヴァイオリン 三上亮
©Nobuo MIKAWA

 ところで、三上がコンサートマスターを務める「リレーコンサートD」(7月2日)は「弦の響き 弦の彩」とタイトルが付けられている。19人の〈フレンズ〉は三上が中心に選んだ。指揮者はおらず、三上がアンサンブルをまとめなくてはいけない。
 「これから一緒にやりたい人、気心が知れている人、演奏家として尊敬できる友達などです。ふだんはソロをメーンに活動している人、音楽性が違う人たちもたくさんいます。今回のメンバーは、それぞれの個性をぶつけ合うことで、無限の可能性が生まれると思います。指揮者がいないことで、よりカラーが濃くなるのでは。オーケストラとはひと味もふた味も違う音色が聴けると思います。私はエンジンをかけるだけです」
 プログラムは、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、チャイコフスキー「弦楽セレナード」など名曲が組まれている。

Ryo Mikami

東京芸術大学首席卒業後、ローム ミュージック ファンデーションなどから助成金を得て米南メソディスト大学メドウズ音楽院、ローザンヌ高等音楽院、メニューイン国際音楽アカデミーで研鑽を積む。日本音楽コンクール第2位、ブリテン国際ヴァイオリンコンクール特別賞など。2007年に帰国、札幌交響楽団コンサートマスター、東京芸大非常勤講師などを歴任。08年に結成されたヴィルタス・クヮルテットの第1ヴァイオリン奏者を務めている。第2回ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞受賞。楽器は1628年製ニコロ・アマティ。

ここで聴く

ローム ミュージック フェスティバル2017
7月1日(土)、2日(日)、8日(土)
ロームシアター京都
出演:ローム ミュージック フレンズ43名
   京都市交響楽団、京響コーラス、他
7月2日 14:45 サウスホール
リレーコンサートD 弦の響き 弦の彩
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
ヴォルフ:イタリア風セレナード
チャイコフスキー:弦楽セレナード
■問い合わせ:エラート音楽事務所 電話075-751-0617