7月に4年ぶり3度目の来日公演
お国もののポッパー、マルティヌー
「いま命を与えられたように演奏したい」
チェコのピアノとチェロの兄弟が、4年ぶり3度目の来日をする。兄のペトルは「一度しかない音を通しての一体感ないし喜びを演奏者と聴衆が感じ取れるような演奏を常にしたい」と語る。
今回のプログラムは、お国もののポッパーとマルティヌー、そしてシューマンとプロコフィエフ。1843年、プラハに生まれたポッパーは、優れたチェロ奏者だった。チェロのための小品が多く残されている。
「前回、前々回よりさらにお客様に、私たちと同じチェコ人のボヘミアの時代から温められてきた作品を中心に、歌心あふれる作品をお楽しみいただければと考えています。前半頭にはチェコの作曲家ポッパーの『ハンガリー・ラプソディ』で華やかに幕開けとしています。彼自身が素晴らしいチェリストであったので、チェロの持ち味が技巧的にも旋律にも表れ、哀愁を帯びた名曲です」とヨゼフは話す。
マルティヌーは20世紀チェコを代表する作曲家の一人。20世紀の作曲家では珍しく、交響曲からオペラまで400曲を超える作品を書いた。第2次世界大戦時はナチスを避け、アメリカで生活し、1959年、故郷に帰ることを夢見ながらスイスで亡くなった。演奏する「スロヴァキア民謡による変奏曲」は最晩年の作品。民族の舞踏歌のように、そして時には祈りの音楽のように展開する。「ロッシーニの主題による変奏曲」は哀愁が漂う。マルティヌーは戦後、一時イタリアにも住んだ。
「マルティヌーは民族的、土着的な旋律が特徴です。日本ではなかなか演奏される機会が少ないと聞きますが、どちらもチェコを代表する歌心を要求される聴きごたえのある作品です」とヨゼフは説明する。
歌心あふれるシューマンの「5つの民謡風の小品集」に続き、メーンはプロコフィエフのチェロ・ソナタ。
「プロコフィエフのチェロ・ソナタはスケールの大きな作品です。同じスラブ民族である我々が、ロシアの代表作品をどのように表現できるか2人の語り合いを楽しんで頂ければと思います」とヨゼフは話す。
そして「自分達が生きている時代よりもずっと前に書かれた曲を、まるでその作曲家がそこにいて、今まさにペンを走らせているような気持ちを聴衆に伝え、導いていくことが重要。遥か昔に作られた作品が、今、命を与えられ、活き活きと躍動するような演奏をしたい」と語った。
1973年生まれ。父はオーボエ奏者、母はヴァイオリン奏者。98年プラハ音楽アカデミーを首席で修了。99年よりエッセン音楽大学へ留学。チェコ共和国音楽コンクール第1位。2005年から06年までシュレースヴィヒ・ホルシュタイン管弦楽団の第一首席奏者。
1972年生まれ。97年、プラハ音楽アカデミーを首席で修了。ミュンヘン芸術大学でゲルハルト・オピッツに師事。チェコ共和国音楽コンクール第1位。E・フィリップ・ピアノコンクール、N・アクロポリス・ピアノコンクールなどで上位入賞。
カルリーチェク兄弟デュオ
チェロ&ピアノ・コンサート
7月18日(金)19:00 よみうり大手町ホール
7月21日(月・祝)14:00 ザ・ハーモニーホール(松本)
チェロ:ヨゼフ・カルリーチェク
ピアノ:ペトル・カルリーチェク
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
シューマン:5つの民謡風の小品集
マルティヌー:スロヴァキア民謡の主題による変奏曲
ロッシーニの主題による変奏曲
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ
■問い合わせ:Kトレーディング 電話:03-6418-1008